水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

パチンコとサラ金の共生関係

去る10月19日に「パチンコホールイノベーションフォーラム2010」なるイベントが開催され、日遊協*1深谷友尋会長が、パチンコ産業の未来創造をテーマに基調講演を行ったそうです。
その中で、パチンコ業界の現状分析として、パチンコ人口が減少する一つの理由に若者のパチンコ離れを挙げた。と書かれています。

なぜ、今の若者はパチンコを打たなくなったのか?
まず、友達に誘われなくなったので、パチンコ屋へ行く機会がなくなった。われわれが大学生の頃は、パチンコと麻雀に明け暮れていたが、今の若者はまずそうした習慣がない。加えて、パチンコが複雑すぎて、金がかかり過ぎる。だから、誰もパチンコへ誘わなくなったのかもしれない。騒音とタバコの煙については、これは昔からの問題で、音はどうしようもないが、タバコに関してはかなり改善されている。
今の若者はパチンコをやらなくなっただけでなく、車にも興味を持たなくなっている。自動車業界でも若年層に車が売れないことに頭を悩ませている。20〜30年前と比べると若者の嗜好は激変している。ケータイ、パソコン、ゲームなどの普及で引きこもりが増えて、草食系男子が増殖中である。それが、パチンコにも車にも興味を示さない若者が増えている一因でもあろう。

http://blog.goo.ne.jp/tetorayade7511/e/1ae56e4c0f294e5324fd9167fab91b8d?st=1

友達?、(パチンコが)複雑?、騒音?、草食系男子?。うーん…、そういう問題なのでしょうか?。
車が売れなくなったのは、若者が貧乏になったからではないかと私は思っています。「若者の車離れ」ではなく、「お金の若者離れ」が進んだ結果、車を含む様々な物が売れなくなった=買えなくなったのだと。でも、パチンコは違います。パチンコはむしろ低所得者層を顧客としてきた産業ですから、貧乏な若者の増大は好都合なのではないかと言う気もします。



緑・パチンコ売上高(左軸・兆円)と水色・パチンコ人口(右軸・万人)はレジャー白書に掲載されている数字で、ここから取って来ました。赤・無担保個人ローン残高(左軸・兆円)はここから取りました。*2
これを見ると、水色のパチンコ人口が顕著に減少しているのは90年代後半であって、過去7年間は1500-1700万人程度で横ばい。2007年の1450万人をボトムに直近はやや盛り返しています。他方、緑色の売上は2006年まではずっと27-30兆円の間で横ばいだったものが、2007年以降顕著に減少していることがわかります。

そこに赤色で示したサラ金の貸付残高のグラフを重ねると…、何となく妄想をかきたてる相関関係が見えるような気がします。
(1)95年から2002年ごろまでは、減少するパチンコ人口を支えるようにサラ金の貸付残高が増加しています。つまり、パチンコ人口は減りましたが、残ったコアなパチンコファン(もしくは依存症患者)が、年々サラ金からの借金を増やしてパチンコの売上をなんとか維持している…ようにも見えます。
(2)2003年から06年までは、パチンコ人口は下げ止まりましたがサラ金貸付残高も頭打ちになったので、結果的に売上も横這いになっている…ようにも見えます。
(3)2007年以降は、パチンコ人口は盛り返していますが、それを打ち消す勢いでサラ金貸付残高が減少し、結果パチンコ売上高が急落している…ようにも
という流れです。
2007年以降に何があったか。それはもちろん、貸金業法の改正です。2006年12月20日の第1次施行から、2010年6月18日の完全施行まで5段階に分けて貸金業の適正化及びグレーゾーン金利の廃止が行われ、とりわけ「ギリギリまで借りているようなヤバイ客」への貸付から急激に縮小したまさにその時期です。

近年のパチンコ産業の不振は、若者が草食化したことなどではなく、サラ金パチンコ依存症患者に資金を渡せなくなったことではないでしょうか?。

*1:社団法人 日本遊技関連事業協会・平成元年7月、内閣総理大臣の許可を受けて発足した、パチンコ・パチスロ産業界で唯一の公益法人です。また、ホール、遊技機メーカー、販売商社、周辺機器メーカー、景品卸、その他の関連企業が参加する、唯一の業界横断組織。とHPに記載されています。

*2:図表1-5①業態別貸付残高の推移・消費者向無担保貸金業者の残高です。理由はわかりませんが、98年はデータがありません。