水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

シルバーウィークが日本をダメにする

誰が名付けたのか知りませんが、シルバーウィークと呼ばれる秋の大型連休がやって来ます。観光業界や集客施設は絶好のチャンスと盛り上がり消費喚起を期待する声がある一方、「今月連休、GWより渋滞 中国道・宝塚で50キロ−−西日本高速」など、高速道路1000円化による弊害を懸念する声もあります。

でも、高速道路が渋滞するのは割引料金だからでなく「その週に需要が集中するため」です。

日本の秋は美しく気候も良く美味しい物も沢山で、観光には絶好の季節。旅行に行くのも素晴らしいと思います。秋らしく過ごしやすい時期=9月中旬〜11月上旬には「週末」が7-8回ありますから、人々が各々の判断でいずれかの週末に+休暇を取れば人の移動はずっと分散。高速道路が1000円だろうがタダだろうが、「10キロ以上の渋滞は(中略)129回」などというバカな事も起きませんし、観光地で割高な料金設定にされたり、どこに行っても人混みでウンザリすることもありません。
もっと休暇を分散させませんか?。


エクスペディア有給調査2009

日本人の有給休暇取得日数は相変わらず主要先進国中で最低。「有給休暇をすべて取得した人の割合」は他国が50-80%なのに対して日本は8%。その一方、政府の定める祝日は各国が10日前後なのに対し日本は15日+「国民の休日」が1日と突出して多くなっています。
要するに日本人は、自分で休暇を取ることができず政府から強制的に「オマエら全員ここで休め」と指定されるのを待っている下僕のような状態です。「仕事が忙しい」「景気が悪く休むと業績に影響が出る」と言って有休を取れずにいながら、政府に命令されれば休めるという不思議。
中国が日本のゴールデンウィークを真似た制度を実施しているのを見ても、こうした「政府主導の強制休暇制度」が、全体主義的で途上国的な制度だとわかります。
日本はそろそろこのレベルを卒業して自分で休暇を取るべきなのに、「みどりの日」「海の日」といった一体何の日かわからない祝日やら「国民の休日」で近年ますます「政府に与えてもらう休日」を増やしています。


ハッピーマンデーとかいう祝日の移動制度がなければシルバーウィークは消滅します。9月の祝日は15日(火・敬老の日)と23日(水・秋分の日)でした。一部の人が14日(月)に有休取って四連休に、一部の人が21・22日(月・火)に有休とって五連休にすれば人の移動は二週末に分散。それだけでも渋滞もあちこちの混雑も半減します。
前掲のエクスペディア有給調査によると、日本人は平均15日有給休暇を付与されています。労働日数が年間250日弱ですから、12-13日休暇を取れば労働力は5%低下する計算で、その穴を埋める5%分の新規労働需要が生じます。
一方で休暇の大幅な増加は観光・レジャー需要を創出。経産省国交省は「有休未消化分をすべて取得した場合の経済効果を12兆円、150万人の雇用創出が可能」と計算しているそうです。今年7月の完全失業者数が359万人ですから、150万人雇用されれば失業者数半減ですよ。


今の日本は企業にとって「社員に有休取られるとコストが上がって困るので取れないムードにして休暇取得を妨害しコストを下げている」部分最適を追求した結果「国全体の景気を悪化させている」合成の誤謬状態。
他方、労働者にとっては「一人ひとりが休暇取れず」「全体として労働需要を悪化させ、景気も悪くしている」ですから、部分も全体も損しているありさまです。

民主党労働組合と仲がいいんだし、シルバーウィークもハッピーマンデーも廃止して、有給休暇取得率ドーンとアップを政策にかかげてはいかがでしょう。


ちょっと話が似てるかもしれない昔のエントリー→水戸黄門に見る、日本人の「支配されたい」願望