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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

今ここにあるバブル

米のサブプライムバブルは、「住宅価格は上がり続ける」という幻想の上に積み上げた過剰融資が崩壊したものでした。日本の90年バブルの土地コロガシも同様です。当時はまた、「日本企業は世界一優秀でこれからも繁栄と成長を続けるので、株価が現下の収益に対してPER50倍60倍でもおかしくない」という空疎な理屈が株価の高騰を生みだしていました。ITバブルも同様に「IT企業は革命であり、今後爆発的に成長する。だから株価がPER100倍200倍でも高くない」という熱狂でした。

バブルの基盤が、幻想の未来予想にあるのだとすると、今の日本もまたバブルのただ中にあるように思えます。それは、「ゼロ金利はこれからも永続する」という未来予想です。
地価(住宅価格)が下がるかもしれない、と考えれば過剰融資のリスクが意識されて抑制されるのと同様に、金利が上昇するかもしれないという可能性を考えれば、900兆円などという国債の積み上げは恐ろしくて不可能なはずです。野放図な国債の発行の裏には「当面金利が上昇する事なんてないでしょう」という「楽観的な」未来予想があるのではないでしょうか。
90年バブルのピークには、日本の長期金利が7%台に達していた時期もあります。財務省の資料を見ると、90年10月に発行された10年債で表面利率7.9%・平均利回7.786%というものがあります。もし今後、金利が上昇して900兆円と言う借金を7%で借りなければならなくなると、利払いだけで63兆円かかることになります。ちなみに今年の税収見込みは37兆円ほどなので、借金の利息だけで破産します。
もちろん、金利の上昇が景気の回復に基づくものであれば税収も増加すると期待されます。税収はどの程度増えるでしょう。過去の一般会計税収推移を見ると、90年に記録した60.1兆円が最大値です。当時の名目GDPが440兆円で今年の見込みが480兆円。その分比例的に税収も伸びると考えれば66兆円ほどになります。税収66兆円で借金の利息が63兆円。なんとかクリアしています。といっても、これは財政が均衡した訳でなく借金の利息だけは何とか払えると言う意味で、手元に残るお金は3兆円。これも実質破産でしょう。
思い切って、消費税を20%に引き上げる事にします。現状から+15%かさ上げすることで30兆円ほどの増収が見込めます。この30兆円は丸々手元に残り予算に使えます。が、今年の一般歳出から国債費を差し引いた政策経費が71兆円ほど。これを33兆円以下に削れるか、と言えば…無理でしょう。やっぱり破産です。

政府は、デフレからの脱却・成長戦略を図っています。が、それらが実現したら逆に財政破たんの危機に直面する恐れがあるように思います。ゼロ金利の継続を前提に積み上げてきた過剰な借金バブルの崩壊です。

とはいえ、金利が上昇するような好景気・高成長をこれからの日本が実現できるようには、あまり思えません。このままゼロ金利が続けば借金バブルの崩壊は起きないのでしょうか?。
それも、怪しい感じです。これまた財務省の資料を見ると、過去70〜80年代に増え続けた利払い費は91年の11.0兆円をピークに98年の10.8兆円まで横這い、そこから2005・06年の7.0兆円まで低下しています。国債残高は積み上がっていくものの、それを相殺して余るほど金利の低下が進行していったので、差し引き利払い金額は減少した形です。ところが、05・06年をボトムに、10年には9.8兆円へと利払い費は増加しています。金利の低下が限界まで行きついて以降は横這いなので、国債残高の積み上げによる利息の増加が始まっている訳です。もちろん、900兆円と言う残高自体も日本の個人金融資産の限界1400兆円に近付いています。
もう一つのリスクは、外的要因に寄る利子率の上昇です。かつて60年代には、米国・欧州・日本の全てが「石油は安価に安定的に中東から輸入できる」と「油断」していました。楽観的な未来予想です。そこへ戦争が勃発して石油価格は高騰。世界経済は大インフレと不況の同居という重大な危機に直面し、日本は高度成長という時代を終了しました。
現状、先進国はどこも不況・デフレリスク下にありますが、EUの財政危機・資源価格の騰貴・新興国発のインフレなど、ブラックスワンはどこに隠れているかわかりません。

金利が上昇すれば破産。ゼロ金利が継続しても限界は接近中。日本政府は今、税収が大幅に増えるほどの好景気だが、何故か金利はゼロのまま上がらない、という超絶技巧的な政策運営を求められています。