水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

ネットでは、朝日新聞のシェアは下がる

別に、ネットの中ではウヨクな人が多いとかそういう話ではありません。新聞を購読していない私はネットで記事を読むことが多いのですが、ポータルサイトのニュースコーナーや1000件ニュース.JPのような場所で興味を引いたタイトルをクリックして記事を読み、この時、自分が読んでいるのが朝日の記事か産経かあるいはスポーツ紙かということはあまり気にしていません。これは紙の新聞ではできなかった事です。
朝日新聞の公称発行部数は約802万部、産経新聞は約167万部だそうです。公称部数の信ぴょう性はともかく、読売と朝日に読者が集まりがちなのは、普通の人は紙の新聞を一紙しか購読しないという事情があります。一紙しか買わないから、特にこだわりがない人は、最も無難と思われる、もしくは市場シェアが大きな新聞を選択しがちです。そして、毎日「全ての記事」をその一紙で読むしかなく、ページによって他紙に浮気することはできません。
しかしネットで記事を読むならば、全て朝日の記事だけを選ぶ、とか産経の記事しか読まないと言う人はむしろ珍しいでしょう。紙では「専属読者」を余儀なくされていた人が、移動の自由を得て「フリー読者」になります。朝日読売専属読者だった人が産経毎日も読むようになるのとその逆では、前者の方が人数がずっと多い訳ですから、ネット上での朝日読売の占有率は紙より低くなるでしょう。

専属と自由という違いを考えれば、紙とネットで課金制度も違ってくるはずです。まったく馬鹿げていると思われるのは月4000円で朝夕刊を丸ごと買わせる日経新聞です。ネットでわざわざ日経新聞のスポーツ面を読む人がいるのでしょうか?。今週の三ツ星スイーツ情報が知りたければ、日経の他にもっと充実したメディアがいくらでもあるのに、そんな「興味ないし読まない」ページ分の料金まで紙メディアと同様にセットで払わされるなんて。
英国のタイムズ紙は一工夫しました。1日契約だと1日1ポンドで紙新聞と同額ですが1週間契約だと週2ポンドでOKとのこと。実質大幅ディスカウントで、値ごろ感と言うか、大体読んでる分相当の料金だけで、興味ないページ分の料金は払わされていない感があります。今月から課金開始の予定だったようですが、売れ行きはどうなんでしょう。
私は、1記事10円とかで課金すればいいのにと思っていました。読んだ分だけ支払い。明快です。ただし、一日に何記事読んでも上限150円のキャップ付きで。とはいえ、トップ記事と小さな囲み記事が同料金では損した感があるので、クリックした記事のByte数比例課金+上限キャップ制かなぁ…、でも課金システムが複雑になるなぁ、なんて思っていたら、米国NYタイムズは来年から「毎月一定の閲覧回数を上回った場合に料金を徴収する。」予定だそうです。ふむふむ、ちょっと考え方が似てます。

なんて考えていたら、孫さんが既に面白い事を始めています。

ソフトバンクグループの株式会社ビューンは、iPadiPhoneiPod touchおよびソフトバンクの携帯電話向けに、新聞や雑誌、テレビニュースなどのコンテンツを月額の定額料金で閲覧できるサービス「ビューン」を6月1日に開始する。月額料金はiPad向けが450円

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100531_371184.html

あぁそっかー、そりゃこの方がいいよねぇ、です。合計21社31コンテンツから好きな記事を自由に選んで定額料金。しかも紙メディアより圧倒的に安い。
従来の紙新聞・雑誌が「食べきれない量の品数を強制的に提供されるコース料理」、私が考えていたのが「食べる分だけ自分で選ぶアラカルト料理」、孫さんのは「定額バイキング料理」です。合計21社31コンテンツという圧倒的な選択自由度から見て、バイキングに一番お得感があります。
ビューンについては、実は全ての記事が読める訳ではない、記事の全文が読める訳ではない、発売と同時に記事がupされる訳ではない、など不十分な点が多々あるようですが、課金方法としては魅力的だと思います。

なお、「ビューン」で獲得した収益は、コンテンツの閲覧数に応じてコンテンツ提供会社と分配する。

最初に、ネット上では朝日のシェアが下がると書きましたが、ではシェアを上げるにはどうすればいいでしょう。
「良い記事を書く」という当り前のことの他に「記事を増やす」という方法があると思います。「有料契約すれば、新聞に掲載されている記事が全て読めます」なんていうアピールを見ますが、新聞に掲載されている記事を「上限」にする必要はないと思います。紙の紙面は有限なので記事数も有限です。収まり切れずにボツになった記事もあれば、割り当て段数に合わせて短くまとめた記事もあるはず。無限のスペースを持つネットでは、それらの記事をどんどん復活・充実させていくべきです。本家?の紙媒体よりもネットの方が情報が多いようにするのです。ネット通販で「ロングテール戦略」が有効でしたが、同様に、興味持っている人が少ないので紙面に載せる採算はとれないが、upすれば確実にいくばくかの読者がつく記事、たくさんあるはずです。他社が紙面と同じ数行の囲み記事で済ませている物もウチならネット版では入手した情報をたっぷり書きますよ、という方針が世間に認知されれば、その会社の記事をまっさきにクリックする人が増えるでしょう。一記事あたりのクリック頻度でなく、掲載総記事数とクリック総数でトップに立つことがネット上でシェア拡大を実現させると思います。
あぁ、もう一つ。どれもこれも激しくショッキングな見出しにする、という手もあります。あまりお勧めはできませんが。