水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

非正規雇用の賃金>正社員の賃金 にするのはどうだろう、という案

同一労働同一賃金にするべき、という意見をよく聞きます。同じ工場の同じラインで働いていたら、同じ価値の労働をしているのだから賃金も同一にすべき、ということです。

でも、そうかなぁという気もします。

同じ仕事して同じ賃金貰って正社員と非正規雇用なら、安定雇用と不安定雇用なのですから、正社員の方が一方的に良くないですか?。企業にとっては、同じ賃金払って首切れない雇用と首切れる雇用なのですから、非正規の方が一方的に都合いいのではないですか?。

いっそのこと同一労働なら、非正規雇用の賃金=正社員の賃金の五割増し くらいにしたらどうでしょう。年収400万円の正社員が働いているラインに非正規雇用入れるなら賃金は600万円です。すごーい。

つまり、
(1)相対的に低賃金だけど、ずっと雇ってもらえる正社員 と
(2)相対的に高賃金だけど、不要になると速攻切られる非正規雇用 

雇用の不安定さと言うリスクテイクを高賃金で補償する、というわけです。これならフェアじゃないですか?。


労働者はどっちを選ぶか、個性が出そうです。

自信のある人は概して(2)高賃金非正規を選びそうです。自分なら、どんなラインの原単位も三割四割下げて見せる、不良品発生率を一桁下げて見せる、という人は、ある企業の業績が悪化して解雇されても他から雇ってもらえる自信があるでしょうから、常時高賃金を受け取れることになります。

安定を望む人は(1)低賃金正社員を選ぶでしょう。収入より失業しない安心を優先させます。


企業は…悩むだろうなぁ。

優秀な人間は正社員にしたいけど、低賃金では正社員になってくれない。でもその人を高賃金で正社員にすると正社員の平均賃金がアップするので、非正規雇用者の賃金もその上昇分の1.5倍アップしないといけなくなる。うーん。
業績悪くなると人を減らしたいが、非正規雇用の方に結構優秀な人が多いので切りたくない。うーん。

でも、企業が悩むのが正しい姿だと思います。今は(1)’高賃金で首の切れない正社員と、(2)’低賃金で首の切りやすい非正規です。企業は(1)’→(2)’にシフトすれば一方的に得する構造ですから、歯止めなく雇用の劣化が進むことになります。
労働者は(2)’低賃金非正規が低賃金も雇用リスクも両方背負わされている状況で、しかも年々(1)’が減少して、(2)’が増えているのですから、労働者全体を見てもどんどん損しています。


この方法は、企業にとっても都合のよい事もあります。

好業績時に、(1)低賃金正社員が賃金について文句言ってきても「その代り不況になっても君の雇用は精一杯守るんだからいいだろう。」と言えます。

業績悪くなって人を切る時に、(2)高賃金非正規が解雇をいやがっても「今まで十分高い賃金払ってきたんだから文句ないだろう。」と、良心の呵責なく解雇できます。


ホワイトカラーの方が、より違和感なく導入できるかもしれません。

新規事業や新プロジェクトを始める時には、外部からその分野での実績ある人材を高賃金で非正規雇用して、プロジェクトが安定化したり社内の人材が育ったら契約切る、みたいな。
正社員平均賃金700万に対して、非正規が1050万円(もしくはそれ以上)。うーん、いい感じ。


企業は、雇用の流動化を望んでいます。
そのこと自体は責められない気がしますが、今は雇用流動化のリスクをいちばん低賃金な層が背負わされている状況で、それはフェアと言えません。

ハイリスクにはハイリターンで報いるのが資本主義の原則です。だから、株式の配当利回りは銀行預金の利率より高いのが当然であり、格付けの低い債券ほど利回りは高くせねば売れません。

非正規雇用=高賃金化案。雇用リスクを高賃金に還元するアイデアはいかがでしょうか。