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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

短命総理に見る、日本人の意外な改革志向

菅総理が辞任し、30日にも次期総理が決まる予定です。在任期間は約15カ月。安倍福田麻生鳩山菅と、これで5代続く一年総理。それでなくとも、従来から日本の総理は短命でコロコロ替わり過ぎると言われています。何故これほど短命なのでしょう。

岸さんから菅さんまで歴代総理の、在任月数(ヨコ軸)と在任期間中の平均経済成長率(タテ軸)をプロットしてみました。割と多くの総理が、任期寿命と経済成長率が比例関係になる帯(赤網掛け)に収まります。

理論値未満総理の個別事情

先に、経済成長率から推定される期間よりも短命で終わった(赤帯より左側にある)総理(黄色表示)から処理します。
竹下さんはバブル絶頂期の総理で平均6%超と言う高成長ですから、本来ならあと1〜2年総理を続けられたはずです。短命の原因は消費税導入とリクルート事件でしょう。宇野さんは女性問題で退陣。羽田さんは、細川殿様が政権を投げ出した後に就任しましたが、既に非自民連立政権は死に体でした。理論値以下の短命はこれら個別の事情によると思われます。
大平さん(白抜き表示)は急死しなければ、当時のデフォルトである約2年の政権となり赤帯に入ったでしょう。同じく急死した小渕さん(白抜き表示)については、帯より右に出ており、実力より政権が長続きしたことになります。小渕さんは98年マイナス1.5%成長と言う状況で橋本さんの後を継ぎましたが、その後ITバブルもあり、99年0.7%。2000年2.6%へと急上昇しています。2000年4月以降も政権が続いていれば在任中の平均成長率が上がり、赤帯に入って行ったと思われます。

日本人の白昼夢

メインストリームの赤帯を見ます。
高度成長期には岸さん池田さんと40か月50か月の長期政権があります。ところが、そこから経済成長率が下がるほどそれに比例して政権が短命になっています。
石油ショックが来てもバブルが崩壊しても、実力としての成長力が低下していることを日本人は受け入れられず、いまだ高度成長の白昼夢を見ているのではないかと思います。今でも、総理を評価して政権を4年任せるには経済成長率8%が必要条件。だから高度成長を再現させられないと分かる度に不満になり総理を使い捨てにしてしまうのではないかと。
石油ショック後の三木さん(3.2%)・福田さん(4.7%)・鈴木さん(3.3%)がその時点の日本の実力相応の成長率だと認められない。だから落第判定して2年程度で首をすげ替えてしまう。バブル崩壊後は更に成長率が2%前後に低下したので、国民は更にせっかちに「早く次に替えろ!」となり総理の寿命がますます短くなる。
ホテルに呼んだ風俗嬢に満足できなかったので「チェンジ!」と叫んだら、次に来たのがもっと酷かったので「チェンジ!チェンジ!」と連呼し続けているようなものです。嬢の相場を考えずに、チェンジし続ければいつか石原さとみが来ると信じているように。
リーマンショック以降は短命化が極限に達します。赤帯理論に従えば、経済がマイナス成長になると許容任期は1年を切り、マイナス2%で任期0になります。しかし、任期0は現実的にあり得ません。そこでマイナス成長下では比例関係が適用除外になり、約1年と言う「下限値」で交代を繰り返すことになっているのかもしれません。そう考えると、理論任期0の状況下「漢字が読めない」などと瑣末な事で批判されつつ1年頑張った麻生さんは、立派かもしれません。

実は日本人は改革を求めている

そんな中、赤帯から突出して右側に存在する総理(赤印表示)が何人かいます。つまり、経済成長率から算出される推定許容任期を超える長期政権を実現させた人です。佐藤さん中曽根さん橋本さん小泉さん。
なんというか、「濃いぃ」人達と言うのが共通点かもしれません。良く言えば指導力、別の表現なら強引、自信家、不遜、波風立てる人などでしょうか。
日本は出る杭は打たれる国です。そんな中で、何故とりわけ出る杭の彼らが長期政権なのか。それは、日本では「総理大臣」という地位自体が既に出る杭であり、誰でもどんな政策をしてもしなくても必ず批判される宿命にあるのだと思います。だから皆、1年2年で心が折れて辞めていく。お腹が痛くなったり、「あなたとは違うんです」とブチ切れたり。長期政権を達成したのは、強じんな精神力を持ち心が折れなかった人達です。
「日本は不沈空母だ」と言い放ったり、国会で追及されても「この程度の約束を守らないのは大したことではない」「人生いろいろ、会社もいろいろ」と言って笑い飛ばしたりできる人でなければ、長期政権は作れないのでしょう。宇野さんも、仏ミッテラン大統領のように、女性問題を問われても「それがどうした」と言えれば、竹下さんも「消費税は絶対に必要な税制だ。イヤな奴は自民党から出ていけ」と言えていれば、もっと長生きできたのかもしれません。

そして、高度成長期真っ最中の佐藤さんは別として、中曽根・橋本・小泉と在任中に改革政策を強く主張した(橋本さんは、やや中途半端ではありましたが)総理が理論値を超える長期政権を達成しているのは注目に値します。中曽根さんや小泉さんは高度成長期の岸・池田よりも長期という驚異の政権。これは国民の強い支持あればこその結果です。
既得権保護・利権バラマキ政策は、組織票を獲得できるので選挙対策としては優れています。が、いざ政権成立後は、政策に対し利権に無関係で既得権保護に不満を抱いている国民が怒り、たちまち支持率が下がり批判を浴び続けることになります。やがて心が折れてしまいます。
それに対し、国鉄電電公社・専売公社の民営化や省庁再編、郵政民営化といった改革を打ち出すと、利権団体からは嫌われますが民衆は歓迎します。大量の浮動票を集めて政権を作ったほうが、政策推進中に国民の高い支持率を維持でき政権が長続きする事を三人が示しています。
そう考えると、石油ショック後の2年交代やバブル崩壊後の更なる短命化は、問題の先送り・利権温存政策しかできない平凡な総理は経済成長率に比例配分な任期が「限度」でそこで打ち切られ、逆に、改革を打ち出した人は、経済成長率から許された任期を越えても期待から「延長」が許される構図。
日本国民は、思っている以上に改革派なのかもしれません。

民衆は、利権団体と違い、きまぐれで我慢できず不満を感じると手のひらを返します。小泉政権の末期「市場原理主義批判」もそうでした。それでも政権は5年もちました。不安定で遠回りに見えても、利権団体に金をばらまいて政権を買って低支持率の中で我慢の政権運営するより、改革を打ち出す方が国民にとってだけでなく総理本人にとっても良い結果になるのです。

次の総理について

次期総理に誰がなるのかはまだわかりません。その人は1年交代でない長期政権を達成できるでしょうか?。

メール偽造問題であっさり責任取って辞める前原さんや、菅総理の理不尽な対応に涙を流す海江田さんのような「打たれ弱い」人では赤帯理論の壁を超えるのは無理でしょう。
その他も国民の不機嫌が怖くて増税問題をごまかす人や、農家票が怖くてTPP先送りを唱える人。民主党政権自体が既に断末魔の状況だと分かっているのに、誰も国民が熱くなるような大胆な改革プランを打ちださず、気にしているのはもっぱら党内融和。

どうも期待は出来ないようです。