水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

増税こそ景気を良くする施策…かも

エコポイント制度のおかげで、テレビから白物まで家電販売が絶好調です。

省エネ家電を買うと受け取れるエコポイントが12月1日から半減するのを前に、家電量販店が空前の販売ラッシュを迎えている。薄型テレビの販売台数が昨年の約6倍に達し、エアコンも3・5倍だ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101120/biz1011201904009-n1.htm

日本電機工業会は25日、エアコンや冷蔵庫など「白物家電」の10月の国内出荷額が、前年同期比22・1%増の1681億円で、5カ月連続で前年実績を上回ったと発表した。12月からの家電エコポイント制度の変更によるポイント半減を控え、駆け込み需要が増えた。

http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20101125089.html

90年バブルの崩壊以降、政府は内需を喚起しようと様々な施策を行いました。公共事業を乱発したり、減税もしましたし「何とか振興券」をばら撒いたこともありますが、今回の施策が需要喚起について最大のヒットと言えます。特定の利権団体にだけ金が流れる公共事業は論外として、減税や振興券が一律に付与されるものなのに対し、ポイント制度は貯蓄していると制度が適用されない、金を使ってメリットが生じる制度というのが大きな違いです。
更に、12月になるとポイントが半減する=12月には実質値上がりすると言う「時限性」が重要な点です。これはバーゲンと同じ理屈です。バーゲンセールで安売りすると客が殺到しますが、だからといって年中割引価格で売れば年中ずっと客が殺到するかと言えばそうではなく、「今だけは安い+期限が来ると高くなる」という点がミソです。マクドナルドがハンバーガーを80円にすると、一時は客が殺到しましたが、やがて「その値段が普通」になって割安感が薄れてしまいました。エコポイントも「ずっと補助します」では「じゃあそのうち買えばいいや」となって効果が減殺されてしまいます。

とは言え、消費する事にいつまでも補助金を出せるほど財政に余裕はありませんし、家電業界だけに税金を投入して販売を補助するのも本来不適切な事です。「今は安い+期限が来ると高くなる」が需要喚起の原動力なので、今後は補助金とは逆に増税することで「期限が来ると高くなる」状況を作り出せば、消費を換気できるのではないでしょうか。
日本たばこ協会の資料によるとタバコ税が上がる直前の9月、売上は前年同期比188%と大きく伸びています。増税によって「今は安い+期限が来ると高くなる」効果が生まれたわけです。でも、翌10月には反動で売上は前年比30.1%。何と約7割も減少しています。これでは困ります。そこで、

毎年4月と10月に消費税率を1%上げる、というのを5年程度続けてみる。

というのはどうでしょう。これで5年間ずっと、家電業界だけでなく、全業種・全商品に「今買えば安い。半年後には値上がりする。」状況を作り続ける事が出来ます。2-3月に駆け込み需要が生じ、4月には反動減も多少出るでしょうが、もうすぐ10月には再値上げが待っているのですから、需要は戻ってくるでしょう。半年ごとの増税で、ずっと「もうすぐ価格が高くなる」切迫感、今買った方が得する感を国民に与えて「駆け込み需要」を発生させ続けるのです。

駆け込み需要を喚起する以外に、二つ効果が期待できます。一つは「デフレ抑制」です。根深いデフレの継続が金融政策を無力化していて、数%程度のインフレが期待されているのですがずっと実現していません。日銀がもっと金を刷ってインフレを起こせといった危うい政策を主張する一派もあります。
1%増税を年二回すれば、名目上年2%の物価上昇が発生します。通常は、公取委あたりが便乗値上げを厳しく監視するのですが、あえて目をつぶって黙認すれば2%以上の、つまり本当の物価上昇が実現するかもしれません。インフレを招くために、不況で値下げ圧力に苦しんでいる業界に、ちょっと値上げを潜り込ませる機会を提供してあげるのです。

もう一つは、財政改善効果です。民主党は、「自民党政権の放漫予算から無駄をあぶり出して赤字を削減する」と息巻いていましたが、やってみたら実現できない事はもう明らかです。増税の前に無駄の削減を、というのは一見もっともな話ですが、このままでは永遠の財政赤字放置になりかねず、ギリシャが近づいています。
際限のない国債の積み上げが、将来の増税や将来の年金制度崩壊を人々に予想させ、それが更なる財布の引き締め・消費の冷え込みを生んでいます。この案で行けば、5年後には消費税率は15%となり、20兆円程度の税収増加が見込めます。増税が、直接財政破綻を防ぐことに加え、将来の破たんの予想を弱めて消費を一層増やす効果があるのではないかと思います。

余談ですが、エコカー補助金は予算を使い切って終了してしまいました。あれも今後は逆に「年式の古い車には加算税を課す」ってしたら、自ずと買い換えが増えるのではないかと思うのですが…。