水色あひるblog

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ドナー登録=臓器提供意思表示を、そろそろオンライン化してはどうだろう

小2女児、心臓移植でカナダへ 募金が目標を超え
こうしたニュースを見る度に、私は複雑な気持ちになります。我が子の命を助けたいと親が思うのは当然です。でも、日本人全体を一つの家族として見た場合、私たちがしている事は「日本の子供が脳死になっても、それを死とは認めないし臓器も取り出させない。でも、日本の子供は助けたい。だから、外国の子供が脳死になればそれは死と認めてOKだし臓器を取り出してOK。で、その臓器を日本人に移植しろ。」と言っている訳で、随分自分勝手な話です。
繰り返して言いますが、我が子を外国に送り出して臓器移植を受けさせる親個人を批判する気はありません。でも、臓器を提供すると言う「痛み」は負担せずに臓器移植を受ける「利益」だけは享受する、集団としての日本人は卑怯者だと思います。

もし日本が、医療のレベルが低いアジアの貧しい国で、高度な技術と金を必要とする移植医療を自国でできないなら、「先進国」に行って移植を受けることもやむを得ないかもしれません。でも、仮にも世界二位か三位の経済大国で移植ができないはずはありません。
また、日本人が行ってきた「移植タダ乗り」は、今や困難になっています。欧州や豪では、海外から患者を受け入れることで国内の患者が救われないという批判が高まり、渡航移植の受け入れを中止しています。米国でも、外国人への移植の制限や費用請求を割高にするなどの策を講じています。他方、フィリピンなど途上国で移植を受けることは、別の深刻な問題=不当な臓器売買を利用している恐れがあります。
今年5月21日には、WHOは「移植を受けるための渡航を自粛するよう促す決議案」を採択しています。必要な臓器は自国で賄え、ということです。

間もなく、2010年7月17日に、改正臓器移植法が施行され「本人の臓器提供の意思が不明な場合にも、家族の承諾があれば臓器提供が可能となる。これにより15歳未満の者からの脳死下での臓器提供も可能に」なります。これを機に、そろそろ私たちは渡航移植を全面的に禁止すべきではないでしょうか。日本人が臓器を提供しないなら、自業自得で日本人患者は死ぬべきです。

とはいえ、できれば臓器提供を増やして日本人患者を救いたい気持ちもあります。
そこで、全国民に「自分が脳死状態になった場合、臓器提供するか否か意思表示するように勧告し、臓器提供を拒否している人は、移植手術を受ける権利もないものとする」と定めてはいかがでしょう。非常に明快でフェアなルールだと思います。別に、あなたが脳死になったら臓器を提供しろと強要するものではありません。嫌なら嫌と言っていただいて結構。ただ、あなたが臓器を提供しない人なら、移植医療を否定している訳ですから、万一臓器移植を必要とする病気になっても、他人の臓器を受け取る権利もありませんよ。ということです。
YESともNOとも登録をしていない人=意思表示を怠っている人は、移植を受ける権利はあるが、病状の緊急度にかかわらず、待機リストの最下位にしか入れません。という付則をつけます。

未成年者については、その親に意思表示する権利=義務があるものとします。
我が子が脳死になった場合には臓器を提供します、と意思表示した人の子供のみが、移植医療を受ける権利がある。我が子が脳死になっても、それを死と受け入れることはできないなら、あなたの子供が移植を必要とする病気になっても、脳死になった他人の子の臓器を受ける権利もないですよ、ということです。

万一の場合=移植を要する病気になった場合=に移植医療の利益を享受したいなら、万一の場合=自分や我が子が脳死になった場合=には、臓器を提供する痛みを背負いましょう。痛み=脳死の受け入れ=を負わない自由は認めますが、自由には代償=移植医療を受けられない=が伴いますよ、というルールの徹底です。

そこで必要になってくるのが、現在「紙のカードに記入して携帯する」方式の臓器提供意思表示をオンライン化することです。オンライン化すれば、意思表示した年月日が確認できますので、自分(又は我が子)が移植医療を必要とする病気だと確認された後になってコソコソとドナー登録して「私は以前から臓器提供にサインしていました」と言い張る「ズル」を防ぐ事が出来ます。
病院に行って移植が必要と診断された日以降に行われたドナー登録は、無効です。

この、ドナー登録のオンライン化。当初は、住基ネットに乗っかる形でシステム整備が必要かなーと思っていましたが、そんな大げさで税金のかかる事業は不要のようです。調べてみたら、(社)日本臓器移植ネットワークで、既に臓器提供意思のオンライン登録が可能なんです*1登録した日付はサーバーに残るでしょうから、これで十分でしょう。
というわけで、私も登録を行いました。*2

日本人の決意で臓器提供を増やして日本人患者を救うことはもちろん、今まで散々欧米で臓器を貰ってきた分、今後は日本が自国では移植医療を行えないアジアの貧しい国々の患者を受け入れ、闇の臓器売買などと無縁な、クリーンで安全な移植医療を提供できる国になればいいと思います。

*1:オンラインで登録した内容をカードに印刷して、自宅まで送付してくれます。タダで。もちろん、臓器提供は嫌、という内容での登録もできます。

*2:古い黄色い意思表示カードは以前から持ってますけど、そろそろ傷んできていたので、いい機会なので新しい緑カードを作る事にしました。現在到着待ちです。→7/16追記:新カードは緑ではなく金色っぽい奴でした。