水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

目指せ、ケインズ・フリーライダー

かつて日本の金融緩和が円キャリートレードを生んで米サブプライムバブルを膨らませる一助となったという指摘があり、昨今はまた、先進諸国の金融緩和が新興国の資産バブルの補助エンジンになっていると言われています。金融がグローバル化している現代では、金融政策は軽々と国境を越えて影響が流出します。
それに比べて財政政策はドメスティックであるようにも思えますが、企業活動がグローバル化している影響はやはりあります。米国でエコカー優遇政策が行われれば日本車にフォローの風となりますし、中国が巨額の公共事業を行ってくれるおかげで日本の鉄鋼産業や建設機械メーカーは相当な恩恵を受けています。

今の日本には財政政策で需給ギャップを埋める余力はなく、これからはいかに「他国の財政政策に潜り込むか」が日本企業の生存手段になるんだなぁ、という気がします。
サブプライムバブル崩壊対策としての財政出動だけでなく、ダムに上下水道、道路に鉄道、河川や海岸の護岸、ゴミ処理施設、文化施設などのハコモノetc.etc.。中国はじめとする新興国には、本当に必要なインフラ整備が山ほどあります。それに、ひょっとしてその事業の有効性に疑問があっても、いっそまったくの無駄でもOK。痛むのはその国の国民のサイフなので日本国民に負担が掛かることもありません。財政政策のタダ乗りです。

中国では沿海都市部と内陸農村部の格差が問題となっていて、地方住民の不満を爆発させないために地方のインフラ整備が避けられない状況です。日本のような小さな国土でさえ、田中角栄が1972年に「日本列島改造論」をぶち上げて以来「公共事業」は30年以上にわたり際限なく税金を吸い込み続け、今なお地方の首長は「まだまだ不十分だ!、わが県にも高速道路を!(新幹線を!)(空港を!)」と叫び続けています。中国やインド、インドネシアといった国々が「国土の均衡ある開発」に乗り出せば、それこそブラックホールなみに金を吸い込むことでしょう。巨大な金脈です。

インフラ関連企業は長らく政治家や役人との癒着の中でビジネスをしてきました。とはいえ、政治家や役人が腐敗しているのは日本だけの事ではなく、中国やベトナム共産党の幹部も、イスラム国家の官僚も利権で動いているのは変わりないでしょう。新興国の権力者の腐敗度は、大抵日本より酷いでしょうから、日本企業にとっては「長年積み重ねてきた癒着や不正の技量」を発揮する良い機会だと思うのですが、どうなんでしょう。
大成建設や鹿島、大林組といった大手ゼネコンはドバイショックで結構な火傷を負っているようで新興国財政政策タダ乗りも楽ではないようです。
頑張れ日本企業。