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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

官僚・ゲームの達人

キャリアと呼ばれる国家公務員採用I種試験で採用された官僚は、その生涯を「ルールが極めて単純なゲーム」にささげている人達です。
生まれてから18年は「受験ゲーム」。ルールは超明快で「点数の高い者が勝ち、低い奴が負け」。多くの者が途中でルールに疑問を感じます。「イギリス人も知らない、今は使われないイディオムを憶えてどうするんだ?」とか「一生使わないこと確実な化学式に何の意味が?」とか「興味もない日本史の重箱の隅をつつくような知識丸暗記なんて…」。彼らから見ると、こうした疑問や不満は全て言い訳、負け犬の遠吠えです。「何故」なんて関係ない。覚えて高い点取れば勝ちなんだから覚えればいい。それだけ。
誤解のないように願いたいのですが、このゲーム、ルールは単純ですが勝つのは単純ではありません。それどころか非常なる努力と才能が必要です。東大に行くには、得意不得意関係なく全教科で満点近く取らねばなりません。彼らはその勝者です。勝者が東大に行く理由は「一番勝った奴が行くのが東大だから」です。


次に4年間「単位取得ゲーム」を挟み、「就職ゲーム」があります。学生が友人と就職について話す時、「希望はメーカー?、金融?、それとも商社とか?」などと尋ねます。この時選択肢に序列はありません。商社がメーカーより上かどうかは、各人の考えや好み次第です。私が学生時代に東大法学部の方と就職の話をした時、彼はこう言いいました。「司法試験ですか、官庁ですか。それとも…、民間?。」活字では分かりにくいかもしれませんが、ここには序列があります。司法試験に挑めず、霞が関にも採用されない人間が行くのが民間企業という序列です。それが三菱商事でもトヨタでも三井住友銀行でも、民間は民間です。何故、司法試験や霞が関が上なのかと言えば、それは個人の考えや好みの問題でなく「そっちの方が難しいから上だ」という基準です。

で、見事入省して与えられるのが「予算を取った者が勝ち、減らした奴が負け」ルールです。この予算に何の意味が?とか、この事業は時代遅れではないか?とか、国民の生活の向上に無関係では?といった疑問を抱くのは、予算を取れない奴の泣き言、言い訳です。予算に意味はなく、ともかく取れば勝ちです。
ルールには重要な補足があり「問題が生じた時、省に責任はないと主張するのが当然。省の責任を認めるのは最大最悪最低の恥」となります。
これも、ルールは単純ですが勝つのは至難の業です。省内他課・他局との足の引っ張り合い、他省が実施している(またはしようとしている)そっくりな事業との競合、事業に意義がないと批判する財務省、全てに対して自己を正当化する理論を構築し相手を論破し、政治家に相応の金が渡るよう配慮して族議員の「ご理解」を得て、OBの天下り特殊法人に金が流れる構造を組み込みetc…。高度で多面的な能力と努力、気が狂いそうなほどの根気や忍耐が求められます。

これほど優秀有能な官僚がズラリ待ち受ける省庁に、大臣副大臣数人で乗り込んでも勝てる見込みは…、あまりないような気がします。
いくら大臣が「これからは、無駄な予算を削った者が勝ちのルールに変ったんだ。」と言っても、彼らは納得しないでしょう。これまでのルールには、「予算を取った者が勝ち。勝者が出世して事務次官レースの駒を先に進める。出世した者ほど、天下りの際に高い地位で迎えられ莫大な金が手に入る。」つまり、「達成感、地位とプライド、金。」ルールに従い勝った者が全てにおいて報われ満たされる仕組みになっています。この報酬システムが伴わなければ、笛吹けど踊らず。官僚にとって大臣は、他局や他省と同じ「論破すべき妨害物」としかみなされないでしょう。


何か、官僚たちが新ルールをルールと受け入れられるような新しい報酬システムが必要だと思います。


民主党議員に、官僚出身者が少なくないのがせめてもの救いです。元官僚なら官僚の気持ちが見えるでしょうが、何か官僚を動かすための方策はあるのでしょうか?。
願わくば、方策がないまま大臣たちの心が折れてしまわないことを。頑張れ、民主党