水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

矢口真里さんと峯岸みなみさん

同一の問題に真逆な対応をした二人について考えてみました。

少数派としての矢口真里さん

矢口さんは、モーニング娘。のリーダー在任中に俳優・小栗旬さんとの恋愛が報じられ、モー娘として「不適切」との批判に「だったらモーニング娘。を辞める」と決断。速攻でソロ活動に転じて成功を納めました。連日バラエティ番組に出まくり、リアクションの巧みさから「ワイプの女王」と呼ばれていたことを覚えています。
これは、ブラック企業の理不尽さに対し「こんな会社辞めてやる」と辞表を叩きつけて独立。次々とクライアントを獲得してサラリーマン時代を遙かにしのぐ高収入を実現した希少な「勝ち組」代表と言えます。
そんな矢口さんは、ネットの世界ではちょいちょい批判というか皮肉の対象になったりします。「私は○○については芸能界で二番目くらいに詳しいです」といった発言がネット住民を刺激しているのですが、目くじら立てるほどでもない些細な事に批判が出るのは、さして優秀そうに見えなかった、この間まで隣の席で働いていた同僚が会社辞めて起業してドンドン成功していく姿を、指をくわえて見ているしかなかった負け組社畜さんたちの嫉妬のように思えますし、逆に「私はマンガが大好きで詳しい。ゲームも大好きで詳しい」と公言しまくり、それカラミの仕事を貪欲にGETしていった矢口さんの姿は、ベンチャー企業の若手社長にありがちな話「できない仕事も『できます!やらせて下さい』とクライアントさんにお願いして仕事を回してもらい、何とかこなしているうちに会社も軌道に乗っていき」的なサクセスストーリーのようです。

多数派としての峯岸みなみさん

峯岸さんは対照的です。彼女は、自分がAKB48という組織に雇用されていないと芸能界で生きていけないことを自覚しているのでしょう。AKBを離れればたちまち消えてしまう。だから二十歳の女性に恋愛禁止などという理不尽な規則にも従うしかありません。頭を丸めて号泣して謝罪して、AKBに残してもらえるよう懇願する道を選びました。
これは、劣悪な労働環境でも我慢して会社に雇ってもらい働くしかない、平凡で無力な「普通の人達」の代表であり、圧倒的多数派です。

批判したい相手はホントにAKBか

峯岸さんのyoutubeをきっかけに、AKBの運営への批判が高まっています。桜宮高校や女子柔道問題と重なったこともあり、悪しき体育会性・イジメや体罰との近さ・パワハラブラック企業そのものな理不尽さや追い詰め方、等々。
これらの批判は、本当はAKBでなく「自分が働いている会社」に向けて言いたい事なんじゃないでしょうか。峯岸さんがAKBにすがりついたように、自分も辞表出して独立なんて不可能ですし、今の会社を辞めれば転職先さえあるかどうか…。会社に言うべきだけど言えない思いを「こんなやり方は間違っている」とAKBになら言える。上司や社長に向かって「オマエがしていることは人権蹂躙だ。ここのビジネスモデルはクソだ」とは言えないけれど「秋元先生」相手にならハッキリ言える。
赤の他人にすぎないアイドルグループの内輪の騒動が気になって仕方ないのは、頭を丸めた峯岸さんの精神的な追いつめられっぷりが、毎月80時間のタダ働き残業を我慢するしかない自分の姿に重なるから。ブラックさを正すことができない自分の会社の身代わりとして、AKB運営を批判しているのではないか。そんな気がします。
まぁ、仮に万一、今回の事態に関し秋元氏に謝罪させたとしても(しないか、そんなこと)自分の労働環境は良くならないんですけどね。