水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

年金 VS 若者 この絶望的な戦いに勝つ方法

昨日「厚生年金は憲法違反なので廃止すべき」と書きました。が、いくら「べき、べき」と唱えても現実は変えられません。現在の年金制度は何重もの堅牢な城壁に守られています。老人たちに搾取され続ける若者の状況を見てみましょう。

(1)人口の壁:60代以上の年金受給世代は当然、制度の維持を希望します。50代はどうでしょう?。既に30年以上も年金保険料を払っている世代としては、今さら制度をチャラにされては大変。問題を先送りして自分たちは年金を受け取る、逃げ切りを図る気がします。そうなると、50代以上で成人人口の53%を占めますので、仮に国民投票をしても年金維持派が勝ちます。
(2)政治の壁:政治家は揉み手をして票にすり寄って来ます。先ほどの人口構成に投票率と一票の格差が加わります。

ギリ過半数の53%だった50代以上が、人口×投票率の投票占有率では62%に膨張。小選挙区衆院では議席を独占しかねない力を持ちます。更に、一票の格差は老人比率が高い田舎ほど有利になっているので、議席決定力はますます強化され、政治家は確実に老人の言い分を支持するでしょう。
(3)官僚の壁:官僚にとって予算は命。昨日書いたように、厚労省にとっては年金制度の肥大化こそ組織目標ですから、制度の縮小には絶対反対です。
(4)控除の壁:会社で働いている場合、税も社会保険料も本人が納付せず会社が給与から控除(天引き)してしまいます。個人で「納付しない」という選択も出来ません。事業主を納付義務者にすることで、個人の反乱を未然に封殺しています。
(5)造反者討伐の壁:国民年金の納付率は60%を割り、制度から逃げ出す者が続出しています。厚労省は、非正規雇用・短時間労働者でも厚生年金に「加入できるよう」検討を進めており、より多くの者が「控除の壁」に包囲されるよう造反者狩りを図っています。

こうした絶望的な状況の中で、年金支給額の大幅引き下げや負担・給付の不公平是正といったことが可能でしょうか?。まだ、若者には逆転勝利の道が残されていると思います。

それは暴力です。

あるいは社会不安と言ってもいいかもしれません。あるいは治安の悪化、犯罪の多発とも言えます。
老人が平然と若者搾取を続けられるのは、何をしても暴力で奪い返されることは無いと安心しているからです。そうではないことが示されれば変化が起きます。これはチュニジアジャスミン革命リビアカダフィ政権崩壊のようなものです。いやいやいや、中東の独裁国家と民主主義の整備された日本を一緒にするなと言われるでしょう。でも私には似ているように見えます。向こうには最初から民主主義的な手続きがなかった。日本には民主主義的な手続きはありますが、先に説明したように、その道は塞がれています。結局、民主主義的な手続きで変えることが不可能なら、非民主的な手段に訴えるしかありません。
日本とチュニジアの違いは、失業率です。2010年、日本の完全失業率は5.1%で、そのうち15〜24歳の失業率は11.0%でした。その程度だから、反フジテレビデモみたいなお遊びのような鬱憤晴らしで済んでいます。これが、全体の失業率約8%で、18〜24歳の若年層の失業率が約20%になると、イギリスのように些細なきっかけで全国各地で略奪や暴動が起き、チュニジアのように若年層の失業率が30%近いとなると革命になるのでしょう。この先若年層の雇用が悪化を辿り貧困が蔓延すれば、日本でも韓流反対デモでは済まなくなるでしょう。放火で炎上したロンドンとお台場の間にあるのは、階段のステップいくつか分程度の差かもしれません。

日本でも暴力が政治を変えた事があります。2008年6月8日に起きた秋葉原無差別殺傷事件です。この一件に世間は恐怖し、世論はパニックに陥ったように非正規雇用の規制を求めました。登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止、日雇派遣の原則禁止、無期雇用への転換推進措置を努力義務化、契約解除に当たって講ずべき措置、etc.etc.
鳩山さんの辞任、大震災、菅さんの辞任でず〜っと継続審議で放置されていますが、事件後3年たってもまだ影響力を残しています。派遣労働の規制は逆に雇用を減らし失業者・低所得者層を苦しめるという指摘もあり、私もそうだと思いますが、ここで大事なことは

七人殺せば法律だって変わる、ってことです。

あと5年か10年か…、この先日本経済が沈滞し続け若年層の貧困が悪化すれば、やがて犯罪も増え治安も悪化するでしょう。これまで日本では山谷か西成でしか見られなかったような暴動が、ささいなきっかけで普通の街で起きたり、商店が集団略奪されたり、小金を持っていて弱そうな老人宅を狙った強盗や殺人が頻発すれば、老人たちの考えも変わるでしょう。
年金の維持より、治安の維持が欲しい、彼らがそう思えば。老人世代の口から「年金給付を縮小してもいいから、生活に困窮している若年層に生活保護や職業訓練や就業支援を与えて欲しい。何もすることのない若者が、集団で街中をフラフラしている状況を何とかして欲しい」そういう発言が出れば法律だって変わります。何せ「巨大な票塊」の要望なのですから、政治家だって動きます。
五重の壁が崩れ、老人自らが無血開城し、社会保障費が若者に大政奉還されるのです。