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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

年金の一兆円削減を目指す

消費税増税は先送りされ財政破綻はもはや不可避かもしれませんが、なるべく破綻は先送りしたい。そこで、なんとか年金支出を一兆円削減する方法を考えました。

オーストラリアの年金制度にはミーンズテストがあり、一定以上の資産や収入があると支給が減額あるいは停止されます*1。財政が厳しい日本こそそうすべきですが、シルバー民主主義下では政治的に困難。そこで、強制ではなく自発的に年金を返上する人を増やしたいと思います。
「増やす」と書いたのは、実はそういう制度はすでにあるのです。2007年4月に「受給権者の申出による年金給付の支給停止」なるものが導入されています。要するに「私は十分に裕福なので、年金はいただかなくても結構ですよ」と申し出ることが出来る制度です。でもgoogle先生で検索しても、導入された最初の月に「18人の申し出があった」*2という話が出る程度で、以降の情報は見当たりません。制度はあまり活用されていないようです。

この制度を再起動して、目標は富裕層最上位1%の人が年金を返上すること。返上したくなるような制度への改編です。

自発的な年金の返上。そんなことができるのか? 私が期待しているのは顕示消費です。人には自己顕示欲があり、富裕層もベンツSクラスとかパテック・フィリップの時計とかカルティエの宝石とかサルヴァトーレ・フェラガモの靴とかを買います。「ほら見て。見た? これを見れば私がどれほど金持ちかわかるでしょう。そう、私は金持ちなんです」とアピールする消費です。年金を返上することに顕示性があればいい。顕示のために年金返上を「買って」もらうのです。そこで、返上してくれた人には正賞と副賞を渡します。

正賞

正賞は厚生労働大臣の署名が入った感謝状で、「年金を御辞退いただき、国家財政に御貢献いただき、誠にありがとうございます。深甚より感謝します」的なことを書きます。これを自宅に飾ってもらい、ホームパーティーに来る客来る客に自慢していただくのです。

「わっ! リッチさん、この感謝状はもしかして…」「え、見つかっちゃった? いやー、あんまり粗末に扱うわけにもいかないからさ。まぁなるべく目立たないトコに置いたつもりだったんだけど。あー見つかちゃったかー」「これ、あの噂の年金辞退の感謝状ですよね。私、ホンモノ初めて見ましたよ。凄いなー、世の中にはこうして本当にいらっしゃるんですね、辞退する人」「まぁ僕も運に恵まれて、多くの人たちとのご縁があって多少は余裕のある生活してるからね。少しくらいはお国に恩返しをと思ってさ」「またまたご謙遜を。事業をここまで成功させたのは全てリッチさんの実力じゃないですか。いや、辞退はすごいことですよ。なかなかできることじゃないです。あー、さすが1億2000万人のトップ1%に立つ男は違いますね!」「いやいや、そんな1%とか大げさだよ、君ィ。ま、年金なんて大した額じゃないさ」「鈴木さん、鈴木さん見てよコレ。リッチさんの年金辞退感謝状!」「え、そうなんですか?リッチさん!」 …以下、次の招待客が到着するたび無限ループ。

ここで得られる自己充足感が年金で得られる経済的利得を上回れば、辞退する人は出てくると思います。年金以外の資産or所得が巨額であるほど、年に数百万円の年金で得られる限界的利得は些細なので、充足感が勝つ可能性は十分あるはずです。

副賞

しかし感謝状は自宅でしか機能しないのが欠点で、家の外での顕示欲求を満たすために副賞が必要です。富裕層は貧相なものが嫌いなので、中途半端な物品では逆効果です。ちゃちなペンとかキーホルダーとか携帯ストラップ(死語)なんて渡せば「こんなクソ貧乏臭い物、持ち歩けるか!」となります。
男女ともに所有できて顕示性が強く長期使用できる定番は時計。無難なところでパテック・フィリップの500万円くらいの腕時計とかどうでしょう。いや、いくら年金返上といえど、500万円のコストはもったいないと思われるかもしれませんが、これ、無償でお渡しする必要はないと思います。希望する人には買ってもらえばいい。パテック社にお願いして一目でソレと分かるような割と個性的なデザインを新規に描いてもらい、そのモデルは市販しない契約にする。「世界中で、年金を返上した人だけが買うことのできる特別な時計」です。買うのは義務でなく、あくまで買う権利はありますよ、ということ。
愛国的観点を気にするなら、セイコーシチズンにも100万円とか300万円くらいの返上者限定モデルを出してもらえばいい。松竹梅、お好きなのを買ってください。多分、買う人は顕示欲が強い人ですから松を買うと思いますが。

「あらウェルスさん、そちらの御綺麗な時計って…もしかして」「おほほほ、お気づきになられまして? イヤよねぇ、何だか変わったデザインで。私はもっと地味なものが本当は好きなんですけどね」「御年金、御辞退されたんですか?」「そんな御辞退だなんて大げさな。ただ、私は今でも十分に暮らしていけますからね。何も国の世話になんかならなくても、という、それだけのことですよ」「羨ましいわ! なんて素敵なんでしょう。ねぇねぇ田中さんの奥様。ウェルスさんの御時計、ご覧になって。これって御年金の…」「まー!ウェルス様の奥様!」 …以下、銀座でフランス料理のコースを食べる間中、おべっかの嵐。

超、楽しそう。

厚労大臣

顕示性を増幅するために、正賞副賞以外にいくつか工夫が必要です。
まず厚生労働大臣です。その人の名前が入った感謝状が欲しいと思われないと魅力が減退してしまいます。今の厚労大臣が誰かご存知ですか? 国民の7-8割は知らないかも。
制度導入時には年金返上を申請する人がどっと詰めかけてスタートダッシュを図り、制度を魅力あるものとして国民に浸透させる必要があります。人選大事。
小泉ジュニア氏とかどうでしょう。男女双方から国民的人気知名度高いし。「厚生労働大臣 小泉進次郎、の署名が入っている感謝状が手に入るのは今だけ! 期間限定! いつ内閣改造されるかわからないから、さぁ早く申請しよう!」とアピールします。
で、内閣改造されたら次の厚労大臣は女子アナ出身者とかどうでしょう。高額年金は男性が多数派。そこを取り込むには、おっさんキラー、おっさんホイホイが必要です。今、誰がいますか? 小池百合子議員や丸川珠代議員でしょうか。小渕優子議員とか三原順子議員もおっさんホイホイ性能が強いかも。この四人に一年ずつ大臣をしていただいて、誰の任期中の返上者が多いか、返上総選挙とかしてみるのもいいかも。
避けた方がいいのは片山さつき議員とかですかね。別れた元夫の悪口を大はしゃぎで言いふらす元女房なんて、全国のおっさんにとって悪夢ですから。

人気がない人が大臣の期間中は、テコ入れのために「一日厚労大臣」とかやってみます。一日警察署長とか一日駅長と同じやつ。で、その日付で申請した人は、一日大臣の署名が入った感謝状がもらえる。例えば、女優の吉永小百合氏とかWBSキャスターの大江麻理子氏、あるいはその先代の小谷真生子氏あたり。男性だと誰がいいでしょうか? おばさんキラーといえば歌舞伎の六代目・中村勘九郎氏とか、俳優の阿部寛氏とか? お笑いの笑福亭鶴瓶氏も別のベクトルで引力強そう。

逆ミーンズテスト

申請すれば誰でも返上できるのではなく、資産1億円以上または年収1,000万円以上といった申請条件を設定して、金持ち専用というプレミアム感を出す。

ロールモデル

年金を返上した、とカミングアウトするロールモデルも必要です。ユニクロ柳井正氏や、受給開始はもう少し先ですがソフトバンク孫正義氏に名乗って欲しい。でも、そうした突出した人物だけだと返上は特別な人がする事と思われるので、もっと違うタイプのモデルも必要です。一流大学から三菱どこそこ、住友なんちゃらに入社して内部出世で社長会長になった人。医者・弁護士。更に、一番大事なのは中小企業のオーナー社長でしょう。社員1万人の上場企業社長より、社員100人の会社の社長の方が金持ちという事はよくあります。何より、中小企業の社長は人数が多いですから。

団扇をパッタパッタさせながら「ワシは自分の力で十分金儲けしてきたからな、もう年金なんぞ貰わんでもエエんや。お、なんや官僚の若造君。ここにハンコつけ? おお、ついたろついたろ。これでええか? で、あれはどないなっとんねん。握手会とかないんか? 大江真理子ちゃんとの握手会は。え?ない? 今日一日で申請者が1000人以上いるので握手は無理です? かー、どいつもこいつも色欲の抜けんジジイどもやなー。あ、ワシもその一人かいな。ガハハ」みたいな人。で、それがテレビニュースになっているのを見て「あんなアホが年金返上! 俺の方がずっと成功者ではるかに金持ちなのに!」と対抗意識持った他の中小企業オーナーにもどんどん返上してもらいたい。 

期待される年金削減額

これで年金支出を一兆円削減できるでしょうか。
厚労省の資料、「平成26年度厚生年金保険・国民年金事業の概況について」によると、年間の年金総額は53兆4千億円。その1%なら5340億円です。むむ、目標の半分にしかならない。しかし「人数ベース」で1%なら、富裕層の年金額は平均より高額なので「金額ベース」は1%より大きくなるはず。
同資料によると実受給権者数は3,991万人なので、53.4兆を割ると平均年額は133.8万円。月額11.2万円です。
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厚生年金の月額分布をグラフにしました*3。月額1万円未満419人から、30万円以上の26,163人まで貧富の格差は歴然*4。人数で見ると月額25万円以上の人が2.75%、月額27万円以上に絞って0.98%います*5。ですので、上位1%の人が返上すれば平均の倍以上にはなるので、一兆円削減は達成できます。
更に先に書いたような富裕層の間に対抗意識が生まれれば、もっと増えます。年金返上→自慢する→羨ましい・嫉妬・対抗意識→他の人も返上→自慢→対抗意識、このスパイラルがぐるぐる回れば人数で2%もありえるかも。仮に一人あたりの金額が平均の2.4倍で人数が2%なら計算上削減できる金額は2.56兆円。消費税収1%分に近い金額も夢じゃない!

どうでしょうか?

*1:正確に説明しておくと豪州の年金制度は二階建てになっており、ミーンズテストにより減額or停止されるのは税金を原資とする一階部分のみです。自分の掛け金が原資の二階部分まで削減されることはありません。

*2:ちなみに18人中の一人は当時の柳沢厚労大臣なので、これは制度アピールですね。柳沢氏はその後どうしたんだろう。給付復活させたのか、今も停止のままなのか

*3:引用元は同じ資料、pdfの23/26から作成

*4:厚生年金の平均月額は14.8万円だそうです

*5:参考までに、月額30万円以上は男性25,765人、女性398人。厚労大臣の節で書いたように、高額年金は男性が多数派です