正義の味方は海の向こうにいるのか
峯岸さんネタの続きでもう一つ。
BBCをはじめとする海外メディアが峯岸さんの問題を取り上げていることが、ある種「嬉々として」国内で報告されています。「ほらほら世界中でこんな風に報じられている。超みっともないよ。恥ずかしいよ」と。
これは問題解決を「外圧」に依存する、日本のありがちパターンです。実際、外圧は時に有効です。かつて日米貿易摩擦が華やかかりし頃、日本の消費者にとって一番頼りになる味方はUSTR(米国通商代表部)だ、といった皮肉も聞かれました。
日本の柔道界から暴力を排除する正義の味方は誰か
それが現在進行形で生じているのが女子柔道問題です。全日本柔道連盟は「園田監督が約2年半前から暴力をふるっていた事態を把握しながら、選手への謝罪で解決を図ろうとし、問題を公表してこなかった」と全力で隠蔽体質。15人の選手が大変なリスクを背負ってJOCに「(告発者が誰かを)全柔連に対しても匿名とすることを希望」して告発しましたが「あくまでも連盟の中で解決してもらいたい」と何もせず全柔連に差し戻して選手見殺し。
ところが事態が世界的に公になると国際柔道連盟(IJF)から「(暴力は)嘉納治五郎師範が説いた精神と理念では決してない」「IJFはそのような行為に対しては断固非難することを強調する」と批判され、「日本オリンピック委員会(JOC)が1日、柔道女子日本代表監督らの暴力問題に関して「スポーツに暴力が入り込む余地はなく、五輪運動の価値に反する」とする英文の声明を海外の主要メディア向けに発表」。
あわてて動きました(笑)。国際オリンピック委員会もこの件に関心を示しており、何かして見せないと2020年東京五輪が絶望的になりますからね。
ブラック企業に鉄槌を下す正義の味方は誰か
となると、峯岸さん手法を活用する人が現れるかもしれません。海外事業(特に欧米先進国企業との取引や先進国市場での販売)が重要な会社の従業員(たとえば非正規雇用者)が、自社の労働環境がいかに劣悪かをyoutubeで晒してみる、というのはどうでしょう。それを見て「このような奴隷のごとき労働を強いている企業とは取り引きできない」と欧米側から批判やボイコットが出れば、日本企業はブラック労働を改めるかもしれません。当然それは「日本人はこんな問題さえ自己解決できないのか」という事実を知られてしまうことと引き替えではありますが。