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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

日本自動車工業会さん、マジ、パネェっす

日本自動車工業会さんのお言葉

「今後も基幹産業の役割を果たしたいが、国内で生産を継続できるかどうかの瀬戸際に立たされている」(日産自動車志賀俊之最高執行責任者) (中略)
大手自動車メーカー5社のトップらは(11月)7日、都内で開いた共同記者会見で、国税自動車重量税地方税自動車取得税の撤廃を強く求めた。

http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20111108-OYT8T00225.htm

政府の回答

政府・民主党は(11月)15日、燃費の良い乗用車を対象に自動車取得税自動車重量税を減免しているエコカー減税を、期限が切れる2012年春以降も延長する方向で調整に入った。
 取得税と重量税自体は12年度税制改正では見直さず、13年度以降の検討課題にする。消費税の増税論議を優先させるためだ。

http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20111116-OYT8T00147.htm

最近の自工会(日本自動車工業会)さんの強さはマジでパネェっす。自分たちの要求は何でも通るという自信に満ちています。野田政権成立時の記者懇談会では次のように発言しています。

新政権、円高など優先的に対策してくれると期待=自工会会長(2011年8月31日)
日本自動車工業会自工会)の志賀俊之会長は(中略)現在の円高水準について「日本のファンダメンタルズに全く合わない」との見方を示した。(中略)今は欧米の工場で生産能力が余っており「経営の意思決定1つで生産が海外に移る状況だ」と語った。

http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201108310094.html

(引用文中の強調はいずれも私によるもの)
政府はご要望に従い、為替介入を実施して円安誘導に努めています。しかし、膨大な規模を持つ外国為替市場で5兆円や10兆円ごとき金を注ぎ込んでも大きな流れが変えられるはずもなく、何度介入しても結局は円高に押し戻されてしまいます。自国通貨売りは無限に可能と言えど、それはコストがかからないという意味ではありません。bloombargの記事を引用すると、

円売り介入は、政府が円建て債券を発行して調達した資金を使って、外為市場でドルなど外貨に換える仕組みだ。
JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は、日本政府が長年の円売り介入と円高で背負った含み損は足元で40兆円近くに達すると試算した。(11月2日の記事)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aUf0AkAQPK6Q

とあります。政府がドルを買って円安誘導を図るのは事実上輸出産業への補助金提供であり、介入が功を奏さず円高に振れれば損害は国民が負担する事になります。それが含み損として40兆円生じているのです。*1外貨準備高が1兆ドルも積み上がっているのは輸出産業が強いから貯まったわけではなく、むしろ逆で、輸出産業を助けるために円高抑制のドル買い介入援助を長年続けてきた結果です。

ここへきて要求はエスカレートしている感じがします。かつて栄華を極めたテレビ産業はパナソニックもソニーも壊滅状態エルピーダも大赤字。これまで雇用を支えてきた製造業の大きな柱が次々と倒れ、残された自動車産業がいかに貴重な存在かを彼らはよく分かっており、政府・国民は足元を見られている状態です。
リーマンショックで車が売れねぇンだよ。何とかしろよテメェよ〜」と言われればエコカー減税エコカー補助金を出し、「必要もない余剰人員を雇ってやってんだから、金だせよ」と言われれば雇用調整助成金を出し、「円高止めろよバカかよ」と言われれば無理だとわかっていても為替介入をして見せ。さらに今回も、

自工会「税金のせいで車が売れねぇだろうが。早く税金なくせよ」
政府君「それは…、震災もあって財政も無茶苦茶で本当にお金が無いんですよ、分かって下さい」
自工会「はぁ?テメェ嘘ついてんじゃねーよ。オラそこでジャンプしてみろよ」
政府君「ぴょん、ぴょん…」チャリン、チャリン
自工会「ほーら、まだ少し金があるじゃねーかよ。とりあえず今日はエコカー減税の延長で許してやっからよ。来年は税金廃止しろよ」
政府君「そんな…無
自工会「はああああっ?、文句あんのか?。イヤならいつでも工場を海外に移してやってもいいんだぜ。それで国民食っていけんのか?あぁ?よ〜く考えろよ」
政府君「あぁ、それだけは、それだけは勘弁して下さい。何でも言う事聞きますから」
自工会「それでいいんだよ。じゃあとりあえず、タイから工員連れてきて日本で働いてもらっからよ、急いで特例のビザ出せよ」
政府君「はい!大至急すぐに発行しますです」

みたいな。まぁ雇用調整助成金やタイの特例ビザは、別に自動車関係だけじゃないんでそこは言い過ぎなんですけどね。

自動車産業が多くの雇用を支えているのは事実ですが、補助金やら税制やら、俺様を特別扱いしろ要求の度が過ぎると「田舎の企業城下町に行くと親会社の社員がやたら偉そうにしてる」的な、国民のための産業なのか、産業に国民が仕えているのか分からなくなりそうで怖いです。
本当の問題は自工会ではなく、国民が努力して他の産業が伸びないと伸ばさないと、立場が強い者がそれなりに振る舞うのは止められない、ということなんでしょうけど。

*1:もし将来、日本の財政が破綻して円が暴落すれば、この40兆円の含み損はあっという間に帳消しになって逆に為替差益が生じます。そうなることが日本人にとって幸福かどうかはわかりませんが。