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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

保険と年金の微妙なズレ

例えば、事故に遭うと保険金が下りる保険に加入するとします。事故に遭わなかった人は保険料を払うだけで終わり、その人達が払ったお金が事故に遭った人に保険金として給付される仕組みです。ではその中で、ラッキーな人は誰でしょう?。事故に遭って保険金がもらえた人でしょうか。まぁ普通は事故に遭わなかった方を良いと思うでしょうが、ここに保険のバランスがあります。
(事故に遭わなくて良かった:+)&(保険料は払い損になった:−)=even
(事故に遭って不幸だった:−)&(保険金で損害が補填された:+)=even
誰も一方的には損をしません。ところが、これを年金に当てはめると微妙な事になります。先の例で言う、事故に遭わなくて良かった人とは誰か?。それは「早死にした人」になります。
(早死にして老後の生活費が少なくて済んだ:+)&(年金保険料は払い損になった:−)=even
(長生きして老後の生活費が過大になり困窮した:−)&(年金で困窮が緩和された:+)=even
年金は長寿への保険、自力の貯蓄で対応できないほど長生きした場合の生活費保険なので早死にする事は(ラッキー:+)になります。が、これは感情に合致しません。早死にして保険料も払い損では二重損に思えますし、長寿を謳歌したうえに年金ガッポリは二重得に思えます。
この感情とのズレが、「年金は、長寿者だけに給付されるのでなく全員の退職後の生活をカバーすべきであり、平均寿命で死んでも得しているべき」となり、国が運営する年金制度が保険を超えて福祉へ肥大する原因になっていると思います。

厚労省「厚生年金の支給開始年齢を68〜70歳に引き上げるよー」と言い出すと「今以上に引き上げると平均寿命で死んだら元が取れなくなる。そんな年金はおかしい。」というお怒りの意見が出ます。でも、むしろ「平均寿命で死んだ人が、払った保険料以上の年金を受け取っている」方が保険としては計算が合いません。
70歳支給開始になったら負担と給付のバランスがどうなのかを正しく計算する能力が、ちょっと私にはないのですが、とりあえず現在の高齢者が受給している年金は徴収した保険料の再分配では成立しない「大盤振る舞い」になっているのは確かです。その大盤振る舞いの原資になっていたのはネズミ講、つまり上位者(年金を受給する高齢者)より下位者(保険料を払う若年層)の人数が多いと言う人口構成ありきでした。人口ピラミッドがとうの昔に崩れ、むしろ逆立ちピラミッドのようになりつつある今、大盤振る舞いは持続不可能です。際限なく負担を増やすか国債無限発行で負担を先送りするのが限界にきているなら、支給開始年齢引き上げは現実に即した対応と言えます。

こう言うとオマエは政府の味方かと怒られそうですが、今回の厚労省案について私は半分賛成で半分反対です。
引き上げる事自体には賛成で、要は「無い袖は振れない」です。このまま何も対応せず放置すれば、多分今から20年後あたり、ある日突然政府が「年金積立金が底をついて、もう1円も残ってないので来月から年金なくなります。ゴメンネ☆(ゝω・)vキャピ」みたいな事になるので、それは困ると。
60歳で退職するなら、70歳までの10年分の生活費は頑張って自力で貯金し、年金は70歳になってまだ死んでなければ貰える。多くの人が払った保険料を取り戻せないうちに死に、その浮いた金が90歳100歳まで生きた人の年金に回る。平均寿命を超える想定外の長生きをしてしまった人の老後をカバーする、持続可能な保険に戻していくのです。(それでも全年金を保険料でカバーするのは無理で、税負担が必要になるとは思いますが。)
反対なのは、引き上げ方です。2014年以降2-3年に1歳ずつ上げていくと言うのは、現状の支給が過剰で持続不可能だと認めながら、今の高齢者には60歳61歳62歳と言う早い年齢から年金を支給して「食い逃げ」を許し、他方で若い世代は65歳だったはずが70歳へと蜃気楼のように支給開始年齢が逃げ続けることになります。
ですから、若い世代の人は「支給開始年齢を引き上げるな」と不可能な要求をするのでなく、逆に「支給開始年齢を今すぐ70歳にしろ」と言うべきです。既に年金支給開始されている世代も70歳まで一旦休止しろと。そうすれば世代間不公平が改善され年金財政もマシになります。もしかしたら、そのおかげで支給開始年齢を70歳でなく69歳にできるかも。
それで生活が困窮する高齢者がいれば、所得・資産が無い人に限り70歳まで期間限定で生活保護を支給すればいい。全員に年金を支給するより財政負担はずっと小さくなります。

本当言えば、既に70歳以上の人に対しても「あなた方はお金を貰い過ぎている。年金を10年分返して欲しい。」と言いたいところですが、それはさすがに憲法上無理がありそうです。その世代に対しては、例えば相続税を手直しするという方法もあります。死亡時に相続財産があると言う事は、それだけ年金は不要だったわけで、余った金の一部を税として返してもらうのです。

余談ですが、女性の年金保険料を男性より高くすべきといったら批判されますかね?。でもコストを考えれば平均寿命が6歳違うのは無視できないかと。それに、これは男女差別にもならないと思います。民間の保険会社が販売している、生命保険・入院保険等は同じ年齢なら女性の保険料が安くなっています。だって女性の方が長寿だから。なので、年金(生き続けることへの保険料)と生命保険(死亡や病気への保険料)をトータルすれば平等になると思うのですが。