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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

新しい雇用への期待(スゴク些細だけれど少し気になること)

インターネット通販大手のアマゾンジャパンは(9月)27日、2012年3月末に仙台市に新たな顧客サービスセンターを新設すると発表した。最大1千人を雇用する。

http://www.asahi.com/business/update/0927/TKY201109270433.html

家具量販店大手のニトリホールディングスは(10月)5日、ショッピングセンター「ニトリモール」の1号店を、大阪府東大阪市にオープンした。(中略)売り場面積が約2万5000平方メートル。ニトリの量販店に加え、ユニクロやABCマート、雑貨店、レストランなど16店舗が入る。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111005/biz11100510350005-n1.htm

勢いのある企業が投資をして、そこに新たな雇用が生まれる記事は読んでいて嬉しいです。頑張れ!いろんな企業さんたち。

雇用の話をするとき、割と習慣的に「雇用が回復する」とか「雇用の回復が遅れる」という表現が用いられることが、スゴク些細だけれど少し気になっています。例えば

失業率3カ月ぶりに改善 円高で本格回復は見通せず」(2011.9.30 22:22)
政府が(9月)30日発表した8月の主要経済統計は、完全失業率が3カ月ぶりに改善するなど雇用情勢に持ち直しの動きが出てきた。東日本大震災の復興事業に伴う求人増や製造業の生産回復による採用増が主因。ただ、円高が生産活動の復調に水を差す懸念もあり、雇用の本格回復は見通せない。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110930/fnc11093022230017-n1.htm

「回復」という語には「1 悪い状態になったものが、もとの状態に戻ること。また、もとの状態に戻すこと。 2 一度失ったものを取り返すこと。」(Yahoo!辞書・大辞泉)という意味があります。そこに私は、日本人の無意識の願望を感じてしまいます。つまり「日本には必要量の雇用を生み出すに十分な企業・産業が既にある。だから一度減った雇用が、本来の、もとの状態に戻れば大丈夫なはず」という願望です(私の勝手な思い込みかもしれないけど)。乱暴に単純に言えば、
トヨタの工場が一時的に人員を減らす→生産台数が回復し、雇用をもとの規模に戻す→回復して良かった
みたいな感じです。でも今実際に起きている事は、

トヨタ自動車は、子会社の関東自動車工業の東富士工場(静岡県裾野市)を2012年中に縮小する方針を固めた。2ラインのうち休止中の1ラインを廃止し、年間の生産能力を21万台から18万台に削減する。利幅の小さい小型車の生産は、輸出先の北米や工場が新しい東北へシフトする。

http://www.asahi.com/business/update/1003/NGY201110030036.html

トヨタの工場が恒久的に(?)人員を減らす→amazonニトリや、あるいはGREEやらDeNAやらが雇用を増やす→さぁ、減る人数と増える人数と差し引きどっちが多いでしょう?
という状況だと思います。雇用は既にある企業が回復させるのでなく、新しい企業が別のどこかに生んでいるのだと。「雇用回復」と言う言葉は、日本人に過去の栄光を思い起こさせる甘美な罠のような気がします(私の勝手な思い込ry)。

そんな事を思うのは、例えばこんな発言を聞く時です。

DeNA社の名前が上がっている件について「相談? 全然ないわな。(社名は)全然知らないね。聞いたことがない」(中略)「まあ、あれだな。本当は松下とかソニーとか日立とか、ああいう安定した一流企業が(球団を)持ってくれるのがいちばん望ましいがね。そうでなけりゃ、朝日新聞だよ」

http://www.sanspo.com/baseball/news/111001/bsa1110010502001-n1.htm

横浜球団の身売り先を巡る巨人・渡辺恒雄球団会長(85)のお言葉です。新興企業への軽視か?蔑視か?あるいはもしかして敵視か?。3期連続最終損益赤字のソニーを「安定した一流企業」と表現するのは、もしかしてナベツネ氏の脳内では、今もトリニトロン管テレビを世界中に売りまくるあの日の雄姿が、エンドレスでVTR再生(β方式で)されているのだろうかと疑ってしまいます。そりゃ100年安定している一流企業があれば嬉しいですが、時代は動いているので難しい話です。
産経の記事文「円高が生産活動の復調に水を差す懸念もあり、雇用の本格回復は見通せない」という表現も、日本に本格的な雇用回復をもたらすのは円安を必要とする輸出型製造業だという前提になっています。そうなの?。
もちろん、ソニーApple社のように優れたイノベーションを復活させる日が来るかもしれません。それは期待したいところです。でもそこで生まれるのはソフトウェア技術者とかIT関係の新しい雇用で、もうテレビ工場が日本に戻ってくることは無いでしょう。

じゃあ、雇用をどう表現するかですが、

「求職者支援制度 真の安全網は雇用創出」
失業者が職業訓練を受けている期間、一定の生活費が支給される「求職者支援制度」が十月一日からスタートする。雇用の安全網強化は評価できるが、根本的には雇用の創出と格差是正が必要だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011092902000035.html

「創出」とか言うと、ちょっと大袈裟じゃないかと気恥ずかしい感じもします。また、回復するタイプの雇用を除外しているのも気になります。トヨタが工場の人員を増やしてくれれば、それだって素晴らしいことなので。

と言う訳で、回復する雇用も創出される雇用も公平に扱いシンプルな、「雇用が順調に増加している」「増加のペースが遅い」「雇用は減少傾向にある」といった表現がフェアで一番いいんじゃないかと思ったりしています。いや、本当に些細なコトなんですけど。
で、現実問題として回復する雇用は今後望み薄と言うかむしろ減少しそうな気がするので、それを補って余りあるほどの、差し引き雇用の純増を生むほどの、新しい雇用が出てくる事を願ってやみません。

エントリーとは関係ありませんが、スティーブ・ジョブズ氏のご冥福をお祈ります。