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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

ペニスの皮は誰が切るべきか?

医師が足りないと随分前から問題になっています。
現場は過酷な労働で疲弊し、救急車はタライ回しにされ、妊娠に気付いた女性は7か月先の出産に備え、受け入れてくれる産院を必死に探さねばなりません。2009年から医学部定員を増やしているそうですが、卒業までに6年かかるうえ、増員はわずか900人。あまりにチビチビした対応で、医師不足が解消されるまでに何十年かかるかわかりません。
対応速度が遅いのは、現在の医師国家資格が「万能医師」養成を前提にしているためです。全ての医学生が、眼科・耳鼻科・内科・脳外科・皮膚科から泌尿器科・産科婦人科まで全ての領域を学習し、国家試験に合格すればどの診療科にでも進めるシステムになっています。そのため、時間も費用も指導体制の確保も大変なのです。本当にこんなシステムが必要でしょうか?。

例えば、包茎ペニスの皮を切る人に、脳外科の知識や心筋梗塞の診断、初期癌と良性ポリープを見分ける能力が必要でしょうか?。私にはそうは思えません。いっそ、医師免許とは別に「皮切り士」という資格を新設してはどうでしょう。余分な皮を適切に切るのに必要な医学知識だけ勉強してもらうのです。多分、カリキュラムは一年も必要ないでしょう。
いやいや、泌尿器科と言うのは皮を切るだけでなく尿路感染症性感染症、精巣がんの診断まで多岐にわたる知識技術が必要だと言われる方もあるでしょう。そうではありません。「皮切り士」に泌尿器科や性病科を標榜する資格はなく、患者の診断治療も許されません。彼らに許されるのは、あくまで皮を切る仕事だけ。男性向け雑誌の後ろの方に山ほど広告が出ている、あの手の医療行為限定です。
それでも、そんな医者でもない素人に皮を切られるのは不安だと言う人もいるでしょう。しかし思い出して下さい。現在の医師国家試験はペーパーテストのみとなっています。実技試験無しです。今、何とかクリニックで包茎手術をしている医師たちも、癌や心筋梗塞の知識はありますが、ペニスの皮を切ることはド素人のまま医療を開始したのですよ。なんて恐ろしい。
「皮切り士」のカリキュラムには実技を十分入れます。リアルな造形をしたバイブにシリコンゴムの包皮を被せて切除を100本くらい練習させる。畜産屠殺場から新鮮な豚のペニスを貰ってきて練習してもいい。資格試験にも実技検定を加えれば、癌や心筋梗塞の事は何も知らないけれど、皮の切除なら医師免許取得者より遥かに上手な人間を一年以内に養成できます。

こんなことをして何が目的かと言えば、医師に医師の仕事をしてもらうのです。
現在、包茎手術は(真性包茎以外)自由診療で金になり、そもそも患者は病気でもないし死ぬリスクもなく、医師免許取得者にとっては気楽で儲かる仕事です。国費も使って6年もかけて広範な医学知識を修得した貴重な人間が、病気の患者を治療する能力のある人間が、医師が足りないのに、皮を切って金儲けするのは社会的損失です。
で「皮切り士」を量産すると、包茎手術が出来る資格者が増えて包茎手術市場は競争が激化し、価格が低下(患者にとっては良い事)。労働市場は緩んで賃金の相場が低下します。つまり包茎手術では今までのようには金が稼げなくなるのです。本物の医師は低賃金に耐えかね、バカらしくてこの仕事には就職しなくなります。普通の医師の方が激務だが給料はマシという状況を作ることで、せっかく癌や心筋梗塞の勉強をした医師は、医師本来の仕事を選ぶようになります。これで医師不足が改善されます。

資格は「皮切り士」だけではありません。
コンタクトレンズの処方を眼科医が書くのも無駄です。もちろん、コンタクトレンズの不適切な使用は失明につながる深刻な事態です。ですから、その関連の知識はしっかり勉強してもらい、カーブ測定などの実習を十分行い、他方で肝硬変や認知症診断の知識は省いて、「コンタクト処方士」資格をとってもらう。貴重な本物の眼科医は、高齢化社会の現在増加している白内障緑内障の治療に専念してもらいます。

女性のバストサイズを大きくする専門の「シリコン投入士」や、ウエストやヒップを細くする痩身手術専門の「脂肪吸引士」なども作ります。これだって、現在の美容整形医師は一切の実技試験無しで医師免許を取得しています。恐ろしい事です。「シリコン投入士」や「脂肪吸引士」には、オリエント工業に作ってもらった素晴らしいダミーボディで実技を大量に練習してもらいます。病気に関する余計なことは勉強しなくていいので、実習の時間は十分取れるでしょう。資格士の参入で美容整形の価格破壊、それに従事する医師の低賃金化が進行。結果、本物の医師は美容整形に金の魅力を感じなくなって退出し、もっと大事な仕事=病気の患者を救う外科領域の仕事に従事してもらいます。

資格設定の一年後から資格士の供給を開始でき、新人の本物の医師がこれら「治療以外」の領域に入ってくるのを抑止、さらには現役医師も本来の業務に押し戻す効果が生じれば医師不足の解消が進みます。
医学部も変わるでしょう。将来は美容整形で金稼ぎしようと思っていた人は医学部に来なくなり、治療する医師を目指す人だけが残るので、投入した国費や指導の無駄も減ります。

問題は日本医師会が反対する事です。彼らにとって医業の独占は死守すべき利権です。医療行為は全て、自分たちに金をもたらす物でなければ気が済みません。救急救命士が気道確保や静脈路確保することにだって抵抗し、「特定行為を行う際にはオンラインメディカルコントロールにより、医師の具体的な指示を受けなければならない(救急救命士法第44条)」と、しっかり医師の権利を維持してきた連中ですから、「何とか士」なんぞを認める気はありません。断固阻止に来ます。
こういう場合は、厚労省の官僚を活用すべきかもしれません。「皮切り士」「シリコン投入士」などの資格認定を行う特殊法人を作り、その理事に厚労省OBのポジションを作るのです。医師会にとって利権に反する資格士が、厚労省官僚にとっては絶好の天下り先であり新たな利権になるように設定。医師会と厚労省が対立して、厚労省が勝てば資格士が生まれます。


参考文献:資本主義と自由 ミルトン・フリードマン