水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

猫ひろし氏・光星学院と、就活生・年金生活者

猫ひろし氏が、「9月にもカンボジア国籍取得できるかも」な状況だそうです。オリンピックに出場したいという情熱はこれほど人を突き動かすのかと感心します。
現在の男子マラソン日本記録は2時間06分16秒。猫氏の自己ベストは2時間37分43秒では30分以上の差があり、ロンドン五輪参加標準A記録2時間15分0秒にも届いていません。今後記録を伸ばしても、層の厚い日本で五輪代表になるのは相当困難でしょう。
カンボジアに行けば猫氏の記録の価値は飛躍的に高くなり、同国の代表選手になれる…かもしれない。かも、と書いたのは、こちらのブログを見るとカンボジアにも猫氏より11分早いタイムの持ち主がいるので、このままでは出場は出来ません。それでも可能性に賭けて国籍を変える勇気はスゴイ。
国籍を変えることで自分のアスリート価値を引き上げる。オリンピックやサッカーW杯ではこれまでにも時折見られた手法です。

この夏、甲子園で準優勝を遂げた青森・光星学院に在籍する大阪出身の選手たちも同じく、こちらは国籍ならぬ県籍を変えて自身の野球選手価値を高めたクチです。
大阪には強豪校がひしめいていますし、優れた選手も多い。どの学校に属していても甲子園に出れる可能性は高くないし、ベンチに入れる可能性も低くなります。レベルの低い(失礼)青森に移る事で自身の甲子園出場可能性を高め、見事その賭けに勝った形です。大阪には甲子園に行けなかった、彼らと同程度かあるいは彼らより優れた選手もいたことでしょう。

セリエAペルージャはイマイチ成績不振なチームで選手層も薄かったので、地球の果てから来た中田英寿とかいう選手も初戦からピッチに立てて能力を発揮する機会が得られました。元いたチームではエースや4番だった選手が巨人に移籍すると腐っていくのとは対照的です。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」という諺もありますが、自身の能力が不変でも、居場所によって自分の価値が変わる。自分が必要とされる度合いが違う。最も高い評価やポジションが得られる場所を探す。というのは大事なことだなぁと感じます。

昨年度の就職活動で企業に採用されなかった未就職学生が、年度をまたいだ4月以降にも就職活動を継続した結果、次年度採用で就職に漕ぎ着けた学生が激増したのだという。昨年度の未就職学生数(大学、短大、高校、専門学校の卒業生)は、約7.5万人いたと言われている。そのうち、1.9万人もの学生が、今夏までに実施された次年度採用(今年4〜6月末時点)で就職を決めているのだという。大半の未就職学生が、慢性的な人手不足に悩む中小・零細企業へと流れているようだ。

http://diamond.jp/articles/-/13636

記入した大学名をチラ見した瞬間にエントリーシートを削除されるような大企業を目指して不毛な戦いをするより、自らを欲しがってくれる中小企業を探す方が得かもしれません。卒業後、最初の数年間の履歴書が白紙や非正規だと、日本ではその後一生這いあがれませんからね。肘掛け付きじゃない安い丸椅子であっても、椅子を確保するのは重要でしょう。*1

日本企業をリストラされたシニア技術者が、新興国に行くとマイスターとして雇用されるというのは、国籍を変えて活躍の場を求める猫ひろしスタイルに近いものがあります。日本では最先端と言えない価値が認められない技術も、向こうではまだまだ現役で大事な修得課題な訳です。

円高になると海外旅行が増えるのは、10万円を国内で使うより、1300ドルや900ユーロや140万ウォンに変えた方が価値が増すことが原因で、これは通貨の居場所変更でしょう。

定年退職後に海外に移住するというのは、通貨の居場所変更を大胆に利用した施策です。退職時金融資産数千万円というのは、日本で老後を過ごすには心もとない金額ですが、物価水準が仮に日本の1/5の国に行けば実質、億の価値になります。
何かと評判の悪い円高ですが、円に価値があると言う事は、海外で財・サービスを買う時には威力を発揮します。

こうして色々考えると、日本の就活生にとってハイリスクだけどハイリターンなポジションチェンジは、アジア新興国の企業に就職する事かも知れないと思います。
高い技術力とGDP世界3位の国内市場を持つ日本企業と取引したがっている現地企業は腐るほどある。日本人への雇用ニーズもあるでしょう。向こうは急激に経済成長しているので、かつて高度成長期の日本企業のように、それらの国々の企業にも成長が期待できます。ブラック揃いの国内のサービス業や国内事業の縮小ばかりしている製造業に勤めるより、ずっと未来がありそう。ただ、飛び込んでいくには猫ひろし氏くらいの勇気が必要。うーん…。
20年後、もし日本が技術的にも市場としても何の価値もない国になれば、ニホンジン社員はポイと捨てられるリスクもありますが、その時は国内も公務員以外何も雇用が無いギリシャ状態になっているでしょうから苦しむのは国内国外どちらにいても同じかも知れません。

*1:それにしてもこのダイヤモンドの記事は、どうして大事なところが「激増したのだという。」だの「流れているようだ。」だの伝聞推定なんだろう。データも厚労省が出したのかソースをはっきり書かないし、釈然としないなぁ。