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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

宅配ビジネスの IN & OUT

イオンやヨーカ堂に行くと、お客さんに混じって結構な人数の店員さんがネット注文のリスト片手に商品をピッキングしている姿を見るのが当たり前になりました。ヨーカ堂では2010年度、ネット通販の売上が約300億で店舗全体の5%程度を占めるそうです。また、リアルに来店されたお客さんの買った商品を配送するサービスも、レジ近くの受付に行列ができている姿を見かけます。
高齢化が進行し、重い荷物を持ち帰れない or そもそもお店まで行くのが大変という層も増えていますから、宅配のニーズは確実に増えていくでしょう。宅配ピザや寿司、生協個配、自然食品配達、ネットスーパーなどを含む「食品宅配市場」という括りだと市場規模は1兆6800億円(2010年)で年率4%の成長。食品に限らず「ネット通販市場」全体だと市場は6兆7000億円(2009年)で成長率10%になるとか。

イオンなどよりもっと店舗や商圏の小さいファストフードやコンビニが宅配に取り組んでいる話も色々聞きます。マクドナルドが昨年12月、世田谷区で配達サービス開始、1500円以上注文を条件に配達料は無料。というニュースがありましたが、今年6月24日からは「注文は1500円以上で+送料300円」になったそうです。う〜ん、配達コストがネックになっているのか。
マックよりも早くから取り組んでいるモスやケンタッキーの宅配はどの程度の規模になっているのでしょう。各店舗ごとの取り組みとは違いますが、2000年から食事の宅配事業をしているセブンイレブンセブンミールは採算が取れているのでしょうか?。*1

宅配のニーズはきっとあるはずなので、ファストフードやコンビニが宅配に挑戦しているとなると、街角のパン屋さんや和菓子屋さん、惣菜屋さんやクリーニング店だって宅配需要を取り込みたいと考えるかもしれません。ドラッグストアなんかも需要ありそうです。体調が悪くなった高齢者とか、あるいは小さな子供が熱を出したが、その子を置いて出掛けるのが難しい母親とか。*2とは言え、さすがに町の和菓子屋さんがデリバリー機能を単独で抱えるのは無理です。そうなると逆に、町に「デリバリー屋」がいて、商店街の小規模店舗全部の宅配をまとめて受託する方が採算取りやすいかもしれません。
町に拠点があって、デリバリーする輸送手段とスタッフが揃っていて、町内に詳しい。そんな事業者が介在すればいい感じです。と思ったら、そんなことは既に実現されていました。

ヤマトグループの解決力
事業規模にかかわらず“安く、早く、広く”ネットスーパーを開店
受注システムの構築から、商品の配送までをワンストップでサポート
スーパーのみならず、ホームセンター、ドラッグストア、商店街などでも活用できるソリューションだ。

http://www.yamatosolutions.com/solution/05/

クロネコヤマト…。「お前のウニみたいな脳みそで想像できる事は、全て実施済みだ」と黒猫に嘲笑されそうな雰囲気。既に千葉・長崎など13都県の中小スーパーで事業実施中で、2012年度末めどに全国にサービスを拡大する予定とか*3。でも、「初期投資125万+月々15万」はスーパーはともかく、商店街にとってもソリューションなのか?。「半径30kmまでカバー」も過剰能力だし、もう少し資本装備の軽〜いヤツがいいんですねどね。こう…、スーパーカブで町内をパルパル走り回る程度のイメージで。

こうした、ビジネス拡大の風が吹き新規参入が続く中でも、着実に業績を縮小させている宅配サービスもあります。

グラフ(左)は新聞配達店と同従業員数の推移です。*42008年時点で店数は90年比-15%、従業員数は95年比-13%。グラフ(右)は日本郵便が取り扱う郵便物の推移です。*5

紙の新聞とか紙の郵便とか、もう衰退必至の商品ですが、様々な変化やビジネスチャンスを目にしつつも自分の領地から一歩も外に出ない姿はいっそ高貴と呼ぶべきでしょうか。
ていうか、新聞なんて今は「押し紙」を除くと、実際は何部売れているのでしょう?*6もう、一つの新聞販売店で全紙を配達するので丁度いいくらいではないでしょうか。早朝からバイク四台で同じ町内を重複して回るより集約して、余ったデリバリー能力をもっと他の成長市場に振り向けた方が生産性が上がるのでは?。それとも、朝日を積んだバイクに産経を一緒に積むと新聞紙同士が火花を散らして燃えだしたりするのでしょうか。

と、この辺で終わるつもりだったのですが、興味深い記事を一つ見つけました。

株式会社ファミリーマート(本社:東京都豊島区)は、株式会社毎日新聞社(本社:東京都千代田区)と、共同でファミリーマート商品の宅配実験を実施することで合意いたしました。12月に大阪市及び堺市内のファミリーマート直営店8店舗で実験を開始します。(2010年11月25日)

商品の配達、集金等の業務を、14箇所の毎日新聞の販売店が担当いたします。

まずは、店舗近隣のオフィスの昼食需要への対応として、昼間のオフィスへの宅配から開始いたします。その後、特に中高年のお客さまを中心とした個人宅向けの宅配も順次開始する計画としています。

http://www.family.co.jp/company/news_releases/2010/101125_2.html

おおぉスゴイ、そりゃそうですよね。「毎日新聞の配達」なんていう事業がこの先ずっと継続できるはずないって、新聞社さんもわかっています。転職準備をするなら早いに越したことは無く、他社に先んじてノウハウを蓄積すれば業態変更のアドバンテージが得られるかもしれません。
新聞配達のオジサンたちも大変です。でも大丈夫。かつて日本最悪の接客態度と呼ばれた旧国鉄のオジサン達も今は営業スマイルが似合うようになっていますから、きっと出来ますよ。

では、日本郵便の皆さんはどんな取り組みをしているのかというと…。

東京都品川区は8月から郵便事業会社(日本郵便)と連携し、高齢者見守りサービスに乗り出す。郵便配達員が高齢者の異変を見つけ次第、区にすぐに通報する仕組み。
高齢者には暑中見舞いや年賀状、地域のイベント情報などを記載したはがきを毎月送付。はがきはポストに入れるのではなく、チャイムを鳴らして高齢者に直接手渡しする。
利用料金は、はがき代のみで1年間600円。*7

郵便事業会社四国支社は5月から、徳島県東みよし町内で高齢者の生活状況を見守る事業を始める。
毎月1回、各家庭を訪問し、健康状態▽身近で困っていること▽福祉・介護に関する疑問や要望を聞き取り、町へ報告する。事業は有償で、確認の訪問1回につき町が事業会社へ187円を支払う。

http://mytown.asahi.com/areanews/tokushima/OSK201104260115.html

品川の事例は利用料金=切手代のみなので、完全に持ち出しのボランティアですね。徳島の事例も、一回187円はビジネスとしては微妙な…。
これは美談なのかもしれませんが、もう完全に「気分は公的機関」。日本郵便は自分たちの事を市役所の一部か何かと勘違いしているのでしょうか。1034億円の赤字を出している事業会社がするべき事ではないように思います。
あるいは、この先何があっても、自分たちの事は絶対に亀井静香先生が守ってくれると言う余裕なのでしょうか。


*1:決算短信を見ると、2011年2月期でセブンミール含む「その他事業部門連結対象15社合わせて売上は356億円。営業利益はセグメントとしては赤字。ミール単独ではどうなのか…。

*2:あぁでも、薬のデリバリーとなると薬事法とかが立ち塞がるのかな?。

*3:元記事の日経はリンク不可

*4:データはココ

*5:データはココ

*6:先に引用した資料が週刊新潮の記事を取り上げていますが、その記事では「滋賀県内5市で実態調査した結果」として、公称部数の36.3%が押し紙だと書かれています。

*7:元記事は日経です