水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

震災被害と市場原理

東京電力は、福島第一、第二原子力発電所の停止などによる電力不足対策として、14日から行う予定の「輪番停電」について、13日夕方にも記者会見する予定だ。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110313-OYT1T00201.htm?from=main7

東京電力は、電力供給能力が追い付かず大規模な停電が発生する事を防ぐために、輪番停電、つまり計画的に地域ごとに一定時間、電力供給を止める措置を検討しています。これって、「一律で平等」ではあるけれど決して「賢い」解決方法ではないですよね。供給を止められた地域では、真に必要な電気も使えず、他方止められていない地域では無駄な電気を使う事もできます。非効率を放置する解決策です。
電気料金を一時的に5倍とか10倍に引き上げる、という手もあります。需要が供給を超過している場合には価格が上昇すると言う市場の大原則です。価格が上がれば、停電しなくても高額な電気料金を払うのがイヤだから、皆が自発的に消費を減らします。
一般家庭では、暖房は温度を下げ電灯やテレビを消したりし、冷蔵庫だけは使うと言う選択ができます。コンビニやスーパーも、飲料などは冷やすのも温めるのも止めて常温販売にして、肉や魚の冷蔵だけは続けると言った選択ができます。18-19時が需要のピークで電力不足になるなら、工場などはその時間帯だけ止めるようにすればよく、病院などは、高い電気代を払ってもいいから、どの地域もどの時間帯も一切停電にならないのが正しいと言えます。

本当言えば、被災地のスーパーなどが通常通りの価格で商品を売ったり、日持ちしないものはタダで配布したりするのは、日本人の真面目さや誠実さを象徴していますが、弊害もあります。安価に、あるいはタダで手に入ると思えば、人は皆、それほど必要が無い物も念のため買っておこうという意識が働きます。今、東京など各地のスーパーの棚からカップ麺やペットボトルの飲料水が消えているのはその為です。平時には増産して供給を追加すればそれで済みますが、被災地では供給が止まっているため、結果的にその商品を切実に欲しがっている人に回らないケースが出てきます。例えば、粉ミルクや紙おむつの手持ち在庫が多少はある家庭が商品を買うと、後からスーパーに来た、手持ちがゼロで今困っている家庭が買えなくなる、といったケースです。
これも、価格を釣りあげて購入を抑制する(必要度が低いモノに対しては「価格が釣り上がっている今買うのは損だから止めよう」と思わせる)という手もありますが、さすがにこれをすると非難が殺到するので実施は困難でしょう。

でも、東京電力のケースは価格を上げてもいいのではないかと思います。東京電力の冬季電力需要は最大で5000万kw程度。今回計画されているのが500万kw分程度の停電ですから、要は我々が「真冬の一番寒い日に使っていた電力の1割分」相当の電気を節約すれば済む話です。家庭・事業所ごとに考えて選択的にスイッチを切れば(切らせれば)十分達成できる範囲だと思います。「節電をお願いします」と口で呼びかけても十分な効果が得られていないなら、電気料金引き上げを宣言し、電力の浪費に対する強い圧力をかけて削減させてもいいのではないでしょうか。