水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

中東の行方を見詰める中国を見詰める人達

チュニジアに始まった革命の衝撃波はエジプトのムバラク大統領を辞任に追い込むと言う大技を実現させ、さらにヨルダンなどへ波及する様相です。こうした中東の民主化革命の鉾先を、中国共産党のエライ人達がジッと注視しているのは想像に難くありません。高々度の経済成長を続けて国民を豊かにしているから衝撃波はコチラには来ないのか、そうは問屋が卸さないのか。中国政府はエジプト情勢について報道規制をしているとの報道もあります。
だがその中国の更に向こうで、中国政府がこの問題にどう対処するかを米国政府のエライ人達も心配そうに見ているはずです。米国はずっと、中国は民主化すべきだと主張してきましたが、暴力革命が起きても構わない、中国国内が動乱状態になっても構わないから共産党政権が崩壊して欲しいと願っていたのは遠い昔の東西冷戦時代の話。今はそうはいきません。
中国経済が混乱すれば、iPhoneの生産が止まるかもしれませんし、先日、胡錦濤国家主席が訪米した際に持参された手土産=ボーイング社の航空機200機など総額約450億ドル(約3兆7000億円)相当の米国製品購入の商談も潰れるかもしれませんし、共産党政府が崩壊する過程で何かの拍子に「保有する米国債の一部を売却する」なんて言われた日には、秒殺でドル札がボロ雑巾と化すかもしれません。
今となっては、中国の民主化はあくまで穏便に、スムーズに行われなければならず、動乱するぐらいなら共産党独裁政権が続く方が米国の国益に適うかもしれません。日本の企業経営者も同じ気持ちでしょう。エジプト動乱でさえ日産や大塚HD(大塚製薬)の工場が停止するなどの影響がありましたが、中国動乱に比べれば夕立と台風くらい差があるでしょう。

米国がムバラク政権をずっと支援してきたのは、同政権が親米・対イスラエル穏健だったからで、米国の国益さえ満たされるなら、エジプト国民がどれだけ苦しもうが国家元首が独裁者だろうが米国は構わない訳です。イラクに戦争を仕掛けたのは、フセインが独裁者だったからではなく反米だったからです。同様に、米国政府が中国共産党独裁政権を批判するか支持するかも米国の国益への寄与度次第な訳で。米国経済を破綻させる民主化よりは、中国国民に一党支配を我慢させる方がマシです。
権力維持という単純な解を求める中国共産党なんかより、民主化と平穏維持という二元方程式を解こうとしている米国務省の方が、ずっと革命の鉾先の行方を悩ましく見詰めている気がします。

その中国も、北朝鮮を見る目は同じ悩みを孕んでいるように思えます。金ファミリーの世襲支配がいつまでも続けられるとは思っていないでしょうが、だからといって政権崩壊が大量の難民となって押し寄せてくるのは大迷惑。せっかく世界が羨む高度成長を続けいている最中に軍事的混乱など起こされてはたまりません。韓国も同じく。ドイツは東ドイツ統一後、長らくその負担に苦しんでいました。東欧で一番マシな国を背負うのでさえ大変なのですから、東アジア最悪の国を背負うのはその数倍大変でしょう。旧西ドイツより小さな国が、旧東ドイツより人口の多い破綻国家を救済できるのか?。
中国政府や韓国政府の本音は、北朝鮮国民には、たとえ餓死してもじっと我慢していて欲しい、というところかもしれません。