水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

選挙制度に関するオマケ話

18日に、現在の選挙制度が自由貿易の促進を阻害しているという趣旨のエントリーを書きましたが、その話のオマケを三つ。

自民党の遺産

現在の選挙制度は自民党政権下で構築されてきたものですから、自民党に有利な配慮が組み込まれているはずです。
都市部では「政左経右」(政治思想的にはリベラルで経済政策的には自由主義・小さな政府志向)な有権者が多く、地方に行くとその逆「政右経左」(政治思想的には保守で経済政策的には保護主義・大きな政府志向)な有権者が増えると推測されるので、自民党は自己の支持者を考えて地方に厚い議員配分が制度化されているとの予想です。
本当にそうなっているか、散布図を作りました。横軸は今年の参院選比例区での自民・民主両党の得票率、タテ軸は18日と同じく参議院議員議席当たりの有権者数で、上に行くほど票が軽く下に行くほど少人数で議員を出せる=一票の重みが増します。

今年の参議院選挙47都道府県のデータをプロットしていくと、自民党についてキレイに右下がりの分布になります。やはり、自民党に有利な選挙区に議員が多く配分される「遺産」が実在する事が分かります。
(他方、民主党については僅かに逆相関のようですが殆ど相関が見られません。おそらく、農家への個別所得補償を公約で打ち出すなど、自民と対照的と言うほど政策が自由主義ではないことが現れているのでしょう。*1

韓国の契機

自由貿易促進の優等生と言えば韓国です。日本同様、製造業が強く農業が足枷となってる国情なのに、何故あれほど力強く進路を決断できたのでしょう。もちろん、あちらの政治家・官僚は優秀で国益を考えていて、こちらの政治家・官僚はバカと利権まみれしかいないという推測も成り立ちますが、それだけでは悲しいので、選挙制度との関連を考えてみます。
実は韓国では2001年10月25日に憲法裁判所というところで、一票の格差は違憲だという判決が出されました。マスコミの報道は見つからなかったのですが、こんなBLOGをみつけました。

2001年10月のつぶやき 10/26「韓国の一票の格差」
本日付けのハンギョレ新聞は、韓国の憲法裁判所(というのがある)で、一票の格差が三倍を超えている現状を違憲とする判決が出たと伝えている。日本と同じ問題が、こちらでも現れているわけだ。
 そして、将来的には二倍以内に抑えようとしているらしい。衆議院で三倍、参議院で五倍オッケーとか言ってる脳天気な日本の裁判所とはえらい違いである。

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/3447/k-mon20.htm

すったもんだの末に2004年3月9日に関係諸法案が国会を通過し、2004年4月15日の第十七代総選に新制度が反映されています。そして、韓国のFTA大攻勢が始まったのが2004年4月1日の対チリ協定発効からですから、まさに選挙制度改革と同時期です。


年齢別選挙区

というわけで、日本の選挙制度改革を考えるのですが、「構想日本」というグループで井堀利宏氏が提唱されている「年齢別の選挙区」というアイデアが興味深いです。
コラムに書かれているのは、地域と年齢のマトリックスで選挙区を設定していくと言うもののようですが、複雑過ぎる気がしますので、私としては、参議院を年齢のみの選挙区にするのが良いと思います。衆議院は現状、全ての年齢の有権者を対象にした地域別の小選挙区制度なのですから、その真逆、全ての地域の有権者を対象にした年齢別の大選挙区制度にするのです。
参議院の定数を現在の242人から120人に半減させます。「20代選挙区」「30代選挙区」「40代」「50代」「60代」「70代以上選挙区」をそれぞれ定員20名の大選挙区とします。1選挙区の定員が20名もあるのですから、少数政党も十分当選できる可能性がありますから、もう比例区はいらないでしょう。
各世代の人口にバラツキがあるので一票の重みに格差が生まれます。が、平成20年「人口推計年報」によると20代人口1474万人、30代人口1861万人、40代人口1619万人、50代人口1766万人、60代人口1700万人、70代以上2018万人。20代vs70代以上でも僅か1.37倍の差しか生まれません。現状の5倍と比べれば格差は無いと言って差し支えないでしょうから、定員は一律20名ずつで良いと思います。この制度なら、投票率が低いと言われる20代にも有権者の自覚が生まれる気もします。

*1:散布図で、民主党岩手県の点が表示されていません。小沢氏のお膝元で得票率が突出して高く、右端から出てしまっています。あしからずご了承下さい。