水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

起業・出世・乗っ取り、権力者になる3.5通りの方法

例えば大企業の社長になる方法を考えます。一つ目は起業、自ら会社を興して大きくする方法です。本田宗一郎氏からホリエモン氏まで。起業を成功させるには、リスクに飛び込む勇気、事業実現への尋常ならざる執念や人を率いる猛烈な馬力を必要とします。また、大企業に育つまでには相当な時間もかかります。ただし、苦労が大きいことと引き換えに成功すれば強いカリスマ性を得られます。
小沢一郎氏は政治の世界でこの道を選びました。株式会社自民党の取締役を辞めて新生党を起業。自律成長だけじゃ追いつかないと考えてM&Aも繰り返しつつ、一方では起業仲間と離反したり自民と手を組んだり…。あらゆる手段を尽くして16年かかって第一党に成長して政権を奪取しました。苦労した分「俺のやり方が気に入らない奴は出ていけ」くらいの迫力があります。
二つ目は出世、既に大きな企業に入って中で登っていく方法です。リスクテイクよりもミスのない堅実な成果、取締役会での派閥形成、現社長のお気に入り度が成功のカギです。起業ほどのエネルギーを必要としない代わりに、社長になっても取締役会や歴代社長(会長)を敵に回すことはできません。谷垣さんです。
三つ目は例外的な手法で、乗っ取りです。一度大きくなってから腐りかけた企業の株を買い占めて、占領軍の司令官として乗り込む方法です。成功例としては日産のカルロス・ゴーン氏があるでしょう。ルノーの意向を受けて降臨、過去のしがらみを一切切り捨てて業績の急激な回復を達成しました。この手法の最大の長所は、プロセス不要で一瞬で目標に達する可能性があることです。
政界でこれに近い手法を実現させたのが小泉純一郎氏です。「自民党をぶっ潰す」と宣言して株主(有権者)の圧倒的な支持を集め、取締役会末席あたりからクーデター起こして首相になりました。外部取締役(竹中さん)に大きな権限を与え、人事も大きく入れ替え(チルドレンの採用と郵政離反者のリストラ)をしました。

2009年8月、衆議院選挙目前にみんなの党を結党した渡辺喜美氏は起業の道を選んだのだと思います。保守なのに大きな政府を推進する自民党を離れて、米・共和党のような小さな政府志向の政党を作ろうとしたんだろうなぁ、でも57歳でスタート、厳しいのに頑張るなぁと。
他方、舛添要一氏は第三の道を選ぼうとしているのだろうと私はずっと想定していました。マスコミの調査では「首相にふさわしい人ナンバー1」なので、自分は第二の小泉氏になれる、自民党を乗っ取れると勘違いしているのだろうと。*1
ところが先日、改革クラブに合流して新党改革と改名しました。61歳でのスタートですよ。いくらなんでも遅すぎませんか。

何故いまさら起業なのか?。時間を節約できる乗っ取りを断念していいのか?。
舛添氏の狙いは、やはり乗っ取りなのでしょう。但し、乗っ取る相手を自民党から民主党に変えたのです。通常、乗っ取りは株式の過半を握って行いますが、もう一つの手法があります。経営権を巡って二つの陣営が拮抗して争っている場合は、プロキシーファイト(委任状争奪戦)が生じ、その場合はわずか数%の株式でも絶大な影響力を持ちえます。つまりは亀井静香氏方式、国民新党参議院わずか六議席でやりたい放題です。
民主党参院選で苦戦すると予想した場合、選挙で自分が第一党になる必要はなく、民主党と自党の議席を足したら過半数になる議席数さえあれば、国民新党に替わって連立与党に参加できる可能性があります。そうすれば、亀井氏のようにやりたい放題できます。
民主党国民新党亀井静香氏に心底辟易しているでしょう。それにとって代わるためには①国民新党よりはマシな政策を主張する、②必要なのは参議院議席だけで衆議院は不要、③政権に参加するために、自分が代表でなければならない(連立与党で政権に参加できるのは各党代表だけだから)、④自分以外は、小沢さんに煙たがられるような「強い」人材はいない方がむしろ都合が良い(政権に積極的に口出しするような人材が多いと、小沢さんには嫌われる)。こう考えれば、舛添氏が自民党からも首をかしげられるようなロートル人材しかいない、参議院しかいない政党に参加したのもうなずけます。自分が党首で、自分だけが目立てて、自分以外は単なる数の方がいいのです。みんなの党に参加したり、他のタケノコ新党と合流したのでは、自分は党首になれないですからね。

起業を偽装した乗っ取り作戦。
参院選後、民主党みんなの党連立政権ができればいいなぁと願っている私にとって、これはゆゆしき事態なんでしょうか?。いやいや。そうでもありません。国民新党のほかに、みんなの党新党改革・立ち枯れ日本などが参議院で一定数の議席を持てば民主は連立を組む選択肢が増えて、政策の是非で考えた結果みんなの党と組む可能性もむしろ増えるかもしれません。
そうあって欲しいです。

*1:マスコミ調査での第一位は、他に誰もいないという消去法での一位であって、小泉氏が国民から熱狂的に支持されていたのとはまるで意味が違うことを、この人は理解していないのではないかと思っていました。