水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

國母選手バッシングの被害者

残念ながら結果は8位でした。ここでメダルを取ったら、マスコミがどれほど手のひらを返すのか、あるいは朝青龍のように勝っても批難されるのか見たかったのですが…。で、國母選手本人以外で巻き添え喰った被害者は誰か考えてみました。


第一は、日本代表選手全員(特に若手)でしょう。國母選手の何がイケナイの?、あんなことで「出場辞退しろ」なんて批難されるの?と思った選手はみんな、自分の髪型・服装・ピアスは大丈夫なのか不安を感じたでしょう。いつ誰が「先生!、○○選手の身なりも華美で(下品で・だらしなくて・etc)国民の代表にふさわしくないと思いまーす」みたいな事を言い出して、火の粉が飛んでくるか知れません。マスコミの取材に少しでも不満そうな態度を取れば「國母みたいだ」と言われるかもしれません。学校のイジメと同じで、今の標的はA君でも何がきっかけで自分に来るかわかりません。周囲から浮かないよう、異質な事をしないよう生徒全員がピリピリと気を遣い続けています。バッシングした人は「自分は國母一人を批判したのであって、他の選手に他意はない」と思っていても、選手は不安で仕方ないでしょう。
日本選手は競技の重圧と闘うだけでなく、国民やマスコミの反感買わないようにも気を使わねばなりません。カメラを向けられれば、清純派アイドルのような笑顔と優等生な受け答えをしなくてはなりません。あぁ…胃が痛くなりそう。成績にプラスに働くものではないでしょう。


もう一つは、もしかして国民全体、かも知れません。スノーボードには大勢の観客を集め、高額の賞金のかかった大会がしっかりあるそうで、優秀なプロ選手にとって五輪は大してインセンティブの働く大会ではないようです。*1五輪が特別ではない競技は他にもあるでしょう。それら競技の優秀な選手が今回の騒動を見て、「どこに地雷があるかもわからず、あんな酷い目に遭う可能性があるなら、オレは五輪なんて出たくないなぁー」と考えれば、次回五輪の出場選手は「品行方正でレベルは二流」な人ばかりになるかもしれません。*2あるいは優秀な選手が参加しないから、そもそも出場枠が取れないかも知れません。枠を獲得したのは國母選手の技量であって、「出場を辞退させる」と言いだした全日本スキー連盟役員様の品格ではありませんから。国民は、お上品さと引き換えに日本選手が活躍しない退屈な大会を見ることになるでしょう。
國母選手は競技終了後の取材に対し「あとに続く本当のスノーボーダーが五輪を目指してくれなきゃ、またオレが出るつもりでいます」と答えています。これをスポーツ報知は「数ある大会の一つと位置付けていた五輪に対する思いに変化も生まれたようだ。五輪のデカさに触れ、育てられ、本当にリスペクト(尊敬)できるようになったとき、国母はもう一度、大舞台に帰ってくる。」と評しています*3が、私には「今回の騒動にうんざりして若手が全員五輪を無視したら、その時は責任とって自分がもう一度出ます。」と言っているように見えます。*4


ところで、本橋=マリリン=麻里選手はトリノの時のような変顔をカメラに見せてくれるでしょうか。今となってはそれも「不真面目で国民の代表にふさわしくない」と言われる恐れがあるから自粛でしょうか。


共感できたBLOG:ルールと価値観by河野太郎氏

*1:紅白歌合戦に似てますよね。一部の大御所歌手にとっては最高にして特別な舞台でも、若手ミュージシャンの「親孝行できます」とか「おばあちゃんが喜んでくれてます」といった発言はつまり、「自分にとっては、…なんですけど」という意味でしょう。

*2:紅白に出たら、「挨拶がなってない」だの「衣装がかぶってる」といった理由で大御所様にイジメられた、なんていう情報が広がれば、若手ミュージシャンは「だったら紅白なんか無視して、仲間でカウントダウンライブやった方が良くね?」と思うでしょう。

*3:国母失敗8位も、オレ流貫き悔いないで〜す…スノーボード

*4:まぁ、私がひねくれ過ぎているのでしょう。