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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

デフレを続ける余力

中国など新興国とのコスト競争に晒されて、日本には強い要素価格均等化圧力がかかり続けています。中国の工場労働者が月収3万円で冷蔵庫を組み立てているなら、同等の冷蔵庫を製造する日本の工場労働者の賃金も3万に近づいていくしかない、それが出来なければコスト競争に負けて工場は閉鎖され雇用が消失することになると言う話です。(今も日本国内で冷蔵庫を製造しているのかは知りませんが、例えばの話で。)
というわけでメーカーは年500万円払っていた正社員を工場から減らして、年200万円の非正規雇用に置き換えてきた訳です。これで賃金コストは一気に半減しましたが、まだまだ足りません。もっと下げていかないと。
賃金水準が下がれば、小売業は商品の価格を下げていかないと貧乏人には買ってもらえません。というか、貧乏人は買いたくても買えません。年収500万の人は一本3000円もする高価なジーンズを買ってくれましたが、年収200万に合わせてジーンズは1000円以下に下がっていきます。
総務省の統計によると、消費者物価指数(総合)は1999年から2008年までの10年で1.3%低下し、今年は一気に2.5%低下しています(10月の前年同月比)。うーん、ユニクロとかPB商品の拡大とかデジタル家電の値下がりとか、感覚的にはもっと大幅に下がっている気もしますが、統計的にはこんなものなのでしょうか。
日本はこのままデフレトレンドが続くのでしょうか?。というか、デフレを続けることが出来るのでしょうか?。

極端な話として、賃金も物価も10分の1に下がる世界を考えてみます。月収2-3万円だけど、ペットボトル飲料が一本13円、牛丼一杯28円、アパートの家賃が月5000円です。物価と賃金が同等に低下すれば、購買力的には貧乏にならないことになります。労働者の賃金が月2-3万になれば中国と同等ですから日本の製造業はコスト競争力を取り戻し、家電製品はおろか衣料品製造工場さえ国内に取り戻せるかもしれません。
でもそれは実現不可能です。物価が10分の1に下がっても、900兆円の借金は90兆円になってくれません。国が借金を返済する原資は結局税収です。年500万金を使う人は25万円の消費税を払いますが、年50万の支出から得られる消費税収は2.5万円。賃金水準10分の1ということは税収も10分の1です。なのに借金が900兆円のままと言うことは、それは今の貨幣価値でいえば9000兆円になる訳で、これはもう絶対返済不可能です。
物価が10分の1になる前にどこかでデフォルトが確実化して国債価格は暴落、金利は暴騰して、コントロール不能なハイパーインフレが生じるでしょう。デフレが進行すると、結局インフレが起きる訳です。

物価10分の1ではなく2分の1ではどうでしょう。工場労働者の賃金は一足早く半減していますから、物価が2分の1水準に追い付けば、年収200-300万の人が現状の400-600万の人と同程度の「まともな生活」が送れるようになります。国の借金は実質1800兆円です。うーん…、根拠は示せませんが無理な気がします。無理じゃないですか?。
2割ならどうでしょう。900*5/4=1125兆円。ま、これくらいなら何とか。3割なら…。

日本は今デフレに「苦しんでいる」ことになっていますが、デフレを続けられるうちはマシ。デフレでいられるのは今のうちだけ。かもしれません。
ともあれ、日本側が賃金・物価を下げることで「要素価格均等化」を実現して対新興国でコスト競争を取り戻すことは不可能でしょう。また、ワープアと呼ばれる年収200-300万の人が普通に暮らせる物価水準を実現することも難しいでしょう。
やっぱり、いつか、破局的インフレが起きて借金をチャラにするしか解決策はない気がします。