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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

(承前)宝くじの超ハイリスク

昨日のエントリーで宝くじに少し触れましたが、宝くじ1等の当せん金額は一体何円が「適切」だろうと考える事があります。私は漠然と3-4億円かなぁ…と思っていました。
3億円は男性で正社員のサラリーマンの生涯賃金、4億円となると有名大学卒で一流企業に就職した男性エリート正社員の生涯賃金クラスです。3億円あれば金利無視でも年間500万円の支出を60年間続けられますから、成人の購入者にとっては「人並みな暮らしであれば、この先ほぼ一生働かなくてもやっていける」収入になります。それで十分だと思いませんか?。1等当せん金を9億円にするくらいなら、3億円づつ3人で受け取る方が合理的というか全体の厚生を大きくする気がします。でも、
窓口パニック状態! トリプルセット年末ジャンボ9億円
つまり、販売業者が組・番号が同一のくじ3組を1セットにしたものを販売したところ、人気殺到、即完売したと言う話で、もし当たれば最高9億円(3億円*3)を一人占めできるわけです。私なら(全体の厚生などという利他的な理由でなく、利己的に考えても)3組買うなら「当せん金を3倍にする」よりも、番号をバラバラにして「3億円でいいから当せんする確率を3倍にする」方を選びますが…。

こうした「高額当せん志向」は、一部の熱心なファンのものでなく全体の傾向と言えます。日本の宝くじは「当せん金付証票法」という法律で、「くじ券1枚の販売価格の何倍まで当せん金額を設定してよいか」という限度が設けられています。そして宝くじの歴史は、売り上げが低迷するたびに法をいじって限度を緩和し、販売を拡大させることの繰り返しです。10万倍から20万倍へ、100万倍へ。そしてロト6ではキャリーオーバー発生時に限りと言う特例扱いで200万倍まで許容されています。その結果、最大4億円と言う当せん金が設定可能になりました。
サッカーくじtotoも当初は売上げが低迷して惨憺たる状況でしたが、2007年に最高当せん金額6億円という「BIG」が発売されたとたんに売上げが激増しています。
当せん金額を高額化することは当せん確率を下げることと同義ですから、「当せん金額が高いほど売れる」というのは、実は「当たりにくければ当たりにくいほど売れる」ということです。

何故高額当せん金志向が発生するのか考えると、宝くじはリクス(確率)ではなくコスト(価格)だけで評価されているということです。1等当せん金額が1億円でも2億円でも、ジャンボ宝くじの価格は10枚3000円でコストが変わりません。コストが同じならベネフィットが大きい方が良いに決まっています。コストは同じに見えて実はリスクが上がっている(当せん確率が下がっている)のですが、そこは無視されている感じです。
例えば同じ金額の債権を買うとして、一方は高配当だが倒産確率が高い(償還確率が低い)債権と低配当で償還確率の高い債券があって、これを配当だけで比較することはないと思いますが、宝くじでは配当だけが評価の対象で償還確率は考慮されない訳です。
あぁ、そうか。宝くじは最初から償還確率が「0ではない」と認識されているので、確率が1000万分の2から1000万分の1に半減しても、いずれにせよ「0ではない」の範疇で、「あり」か「なし」かの二分論で結論は「あり」に変わりません。だから配当(当せん金額)が高いほど評価される訳です。
宝くじは実は、倒産確率が99.99999%の超ハイリスクな究極のジャンク債だったのですね。


まぁ、そう言いながら年末ジャンボを買ってしまうのですが…。