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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

日本には絶望が足りない

この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない。「希望の国エクソダス

日本の閉塞した状況を、村上龍氏が2000年の著作で表現した言葉です。でも実際は、日本にはまだまだ絶望が不足しているのではないかと言う気がします。
例えば70-80年代のアメリカは、今の日本よりずっと悲惨な状況だったと思います。インフレと不況の深刻な並存、低成長と高失業、犯罪の多発。都市ではスラム街が増殖して路上生活者が溢れ、地下鉄車両は落書きだらけ。女性が街を一人で歩くのは危険で、強盗にあってもレイプされても一人で出歩いたりする方がどうかしていると言われました。90年代からのアメリカの成長を支えたIT産業や金融業の革新は、テレビを製造する会社が国内から絶滅するような「希望の喪失」の中から生まれた新しい芽であり、決して古い繁栄から新しい繁栄へスムーズな移行が行われた訳ではありません。イギリスも、英国病と呼ばれた長期にわたる衰退と荒廃の時代を経て改革の時代を迎えています。
それに比べれば、派遣村程度で国中が大騒ぎになる日本は遥かに安定的で平穏な社会を維持しています。現状の悲惨さが足りないから新しい産業への移行が進まない、必死さが生まれないのではないかと言う気もします。

本当なら今の日本は当時の英米同様に絶望が満ちているはずなのに絶望は一体どこに行ったのかと言えば、それは900兆円の借金に形を変えて凍結保存されているのだと思います。
本当ならとっくに壊滅しているべき50万社とも言われる建設業も、偽装農家とも呼ばれる兼業農家も、その他様々な物が税金で延命されてきました。お金で希望を買い支えてきた。70年代末以降の過去30年に日本人が受けるべきだった痛みを税金投入で回避してきた。表現を変えれば、日本人が本来受けるべき苦痛がお金に換算されて900兆円貯まっている訳です。

のび太クンはドラえもんから「ペインクリーナー」を借りました。これは、ジャイアンに殴られたりママに叱られた時、スイッチオンで「苦痛」を掃除機のように吸い取ってくれる機械です。これがあればゲンコツくらっても痛くも痒くもありません。図に乗ったのび太は、ジャイアンにちょっかい出したりテストで0点を平気で取ったりを繰り返しました。でもある日、ペインクリーナーは使い過ぎでパンパンに膨らみ爆発してしまいます。その瞬間、ゲンコツ数十発分+ママのヒステリー数十回分の痛みが一斉に降りかかり、のび太クンはボロ雑巾のようになって気絶してしまいました。ちゃんちゃん。
これは、ドラえもんにありそうな話を勝手に作ったものですが、国債はこのペインクリーナーのような物だという気がします。

バブルは、それが弾けて初めてバブルとわかる。と言われるように、過剰債務もまた、金利が暴騰して初めて過剰債務と判明するもので、一旦金利の騰貴が始まった時には止めるすべもなく、財政規律を正して事態を収める時間的猶予は与えてもらえないでしょう。30年間貯め込んだ絶望が暴発するのは10年後か15年後か、あるいは意外と来週あたりなのか。
普通国債発行、140兆円超 新規・借換債、10年度計画最大に