水色あひるblog

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「元○○」という肩書を使わないでほしい場合

「元○○」という肩書を使って欲しくないのに報道で頻繁に使われているパターンの一つは、自民党の議員を紹介する場合に使われる「元○○大臣」という肩書です。例えば、「党紀委員長に中曽根前外相=自民」。この記事に出てくる「中曽根弘文外相」や「野田聖子前消費者行政担当相」(あと「塩崎恭久官房長官」も同様ですが)。これはホントいらないでしょう。現在はヒラの議員でも、一度でも大臣経験があれば「一番偉かった時の肩書を書いてあげる」なんてことをマスコミがするから、自民党政権では用もないのに毎年内閣改造を繰り返し、一人でも多くの議員が大臣経験者になるように計らっていました。コロコロ交代するせいで大臣はますます政策に疎くなってお飾りと化し、官僚が実権を握る結果となりました。
大臣として何の実績もない、一時期官僚の作文を代読していただけの人間を一々「元大臣」と呼称する悪しき習慣は止めてもらいたいです。もし民主党が一政権一内閣を貫いたなら、その時は「元大臣」の価値について今一度考えなおせばいいでしょう。

もう一つ多いのは、容疑者や被告の肩書に使われる「元○○」。例えば、「村木・厚労省元局長が保釈へ…障害者郵便事件」こんな感じです。
先に挙げた元大臣の元は「以前かつて大臣だったことがある」という意味ですが、この元局長は「犯罪が行われた時に局長だった。局長と言う立場で犯罪を行った容疑がある。」という意味があります。両者の元は随分事情が違います。この村木元局長の場合は、元と呼ばずに「村木局長(当時)」と呼称する方が意味や責任が明確になる気がします。
上記の政治家のケースでも、過去の政策に重大な過ちがあって問題となっている場合には、今は既に大臣でなくとも「当時の○○大臣」と書くことが、責任の所在の明確化になると思います。

最後は上の二件に比べるとずっと頻度の低い使い方ですが、例えば窃盗犯を捕まえたら元Jリーガーだった、というような事例です。いや、そうした事例があるかは知りません。あくまで例えばの話で。もし犯罪の内容が、サッカーに関連する詐欺かなんかであれば容疑者が「元Jリーガー」だというのは意味のある情報だと思います。でも、窃盗なり暴行なりといった犯罪なら、容疑者が元Jリーガーかどうかはわざわざ持ち出す意味がない情報だと私は思います。
何故、マスコミが「元Jリーガー」とか「元プロ野球選手」とか「元タレント」だとわざわざ書くのかと言えば、容疑者が一般人ではニュースバリューがない矮小な事件でも、元スポーツ選手やタレントといった有名人であれば価値が生まれる。価値と言うのは夕刊紙の売れ行きを増やしたりワイドショーの視聴率を上げる役に立つと言う意味での価値です。
こうしたケースで現在の肩書でなく、売らんが為、数字上げんが為に「過去に○○だったことがある」という元肩書を引っぱり出してくるのは…、「下品」だと思います。

まとめると、単に「過去の一時期○○だったことがある」だけの肩書は書く必要がない。逆に犯罪や重大な過ちの(またはその容疑の)発生時点である肩書にあった場合は、今はその肩書から離れていても「当時の○○」として責任の所在を明らかにする方が良いのではないかと思うのです。