水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

中国に行ったのなら、鳩山首相にオンカホウ首相と話して欲しかった事

それは、中国の固有名詞の読み方です。日本のメディアが固有名詞を発音するとき、韓国の李明博大統領のことはイ・ミョンバク大統領と現地の発音に合わせているのに、中国の温家宝首相のことはオンカホウ首相と日本読みになっています。これには歴史的経緯があって、

1)日中間の人名の読み:1972年(昭和47年)9月、当時の田中角栄首相が中国を訪問し周恩来首相との日中国交回復の会談の際に、日中両国の人名は、互いに、読む人の国の読み方(日本では、周恩来はシュウオンライとの如くに)を従来通りに継続することで合意した。
2)日韓間の人名の読み:1984年(昭和59年)韓国の全斗換大統領が来日し、日本の政府高官たちとの会談の席上、両国の要人の名前を、お互いに現地読みすることで合意した。

http://members.jcom.home.ne.jp/u33/i%20think%200301103c.htm

ということだそうです。1972年にどういった考えでこのような取り決めが行われたのかはわかりませんが、もう改めるべきじゃないでしょうか。
世界のどこかの国の人、アメリカ人でもオランダ人でもベトナム人でも構いませんが、誰かと国際政治について会話しようとして「Chinese Premierであるオンカホウさんは…」と言っても、誰にも通じず「はぁ?」と言われます。Chinese Premierは日本以外世界中でウェン・チアパオさんで、ちなみにPresidentはコキントウさんではなくホゥー・チンタオさんですから。
逆に、日本の鳩山由紀夫首相はHatoyamaYukioではなく、中国ではJiu1Shan1You2Ji4Fu1さんと発音されています(数字の意味はわかりません)。これも同様に世界に通じません。「JapanのPrime ministerのJiu1Shan1さんが…」と言っても「WHO?」です。
地名の発音は、日本側は無規則に近いです。上海シャンハイのように古くから現地発音に準じているものと、福建フッケン省のように日本読み、北京ペキン…これは何読みなんでしょうか?が混在しています。中国側は中国読みなので、日本の首都・東京の事を世界中で中国人のみがドンジンと呼んでいます。「今度出張でドンジンに行くんだ」と言われても、中国人以外にとっては「それドコ?」です。
自国内でしか通じない誤った発音は、お互い止めるべきだと思います。今回はウェン・チアパオ首相と会談の機会があったので、「今後はお互い、現地発音に合わせるようにしませんか?」と持ちかけてくれれば良かったのですが…。

もしかするとひょっとすると、中国が「漢字は我が中国が生みだしたものであり、従って漢字で表記されているものは中国読みするのが正しいのだ。日本の読み方なぞ知ったことか。」といった理由で日本読みに屈するのを拒んでいるのかもしれません。いや、全然そういうことではないのかも知れません。わかりませんが。ただ、もし仮にそうだとしても、中国が中国読みにこだわって国際的に通じない発音で損するのは向こうの勝手であって、中国が損しているからと言って日本も足並み合わせて損する必要はないと思います。
日本だけでも現地読みに合わせた発音にする方が、日本人が得をすると思います。福建省の話するなら「フージェンの工場の人件費がさー」と言えばドイツ人ビジネスマンとも話が通じますし、共産中国の歴史を話しするには、「モウタクトウが」ではなく「マオ・ツォートンが」と言った方がロシア人にも通じます。

東アジア共同体とかいった壮大な話の前に、まずは読み方を訂正していただきたいものです。ハトヤマさん、ウェンさん、いかがなものでしょう。

閑話 エントリー冒頭のリンク先を後段まで読んでいただくとわかりますが、おもしろい話が書かれています。
読み方の謎について質問したところ、NHKは正しい理由を教えてくれたが、外務省に同じ質問したところ「2)外務省の回答→時代の趨勢が、現地読みとなっている。→質問:では、何故、中国人名は日本読みなのですか?→外務省:そのうちに現地読みに移行すると思います。」という歴史的経緯をまったく把握していないデタラメな回答が返ってきた、とのこと。外務省官僚のレベルが知れるエピソードですね。