社民党は再び自民党の命の恩人となるか
社民党の苦い苦い思い出。
それは、1994年に自社さ政権が成立した時、村山おじいちゃんを傀儡首相にしてもらう見返りに社会党が高々と掲げてきた主張、日米安保反対・消費税反対・非武装中立を片っ端から投げ捨ててしまったことです。昨日まで「自衛隊は憲法違反」と主張していた党の委員長が、ボサボサ眉毛を風になびかせながら自衛隊の式典に出席し、軍事パレードに向かって最高指揮官として敬礼している姿は実にシュールでした。
支持者はこの裏切りに怒り、悲しみ、絶望して社会党を見捨てました。そうして、長年野党第一党だった政党は崩壊し社民党という名の泡沫政党に転落しました。と、彼ら自身は思っているでしょう。
あれから15年。社会党の末裔たる社民党に再び与党の一角となる機会が巡ってきました。みずほちゃんは「インド洋からの自衛隊の即時撤退」を強硬に主張するなど、「今度は日和ったりしない」という姿勢をやっきになって示しています。しかしその強硬路線が、再び自民党の命を救うことになるかもしれません。
もういちど歴史を遡ってみましょう。
94年、国民の中で本気で自衛隊を解体できると思っていた人、消費税を廃止できると思っていた人がどれだけいたでしょうか。社会党が行った最悪の裏切りは、実現不能な政策を放棄した事ではなく、「自民党と連立を組んだ」事です。
あの時社会党に投票していた人の最大公約数は「反自民」だったのに、自民党を下野させ反自民政権を担うべき野党第一党が、あろうことか連立組んで自民党政権を復活させたのです。一度は心停止した自民党を蘇生させ、結局15年もの延命に成功しました。自民党にとって社会党は命の恩人です。これが一度目。
2009年、社会党のおかげで延命していた自民政権が二度目の心停止を迎えました。
今、生まれたばかりの民主党政権で社民党が無理難題を強弁して政局を混乱させれば、漁夫の利を得るのは自民党。細川政権崩壊→自民党の政権復帰という悪夢を繰り返すことになりかねません。
一度目は日和って自民党を助け、二度目は執着して再び自民党の命を救うことになるのでしょうか。
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とはいえ、社民党も簡単に主張を引っ込められないのでしょう。
かつて、社会党を大野党たらしめていた「反自民」というマスは既に民主党に移っており、今の社民党を支持しているのは「反自民」にして「非民主」しかも「嫌共産」というスーパーニッチ層です。ここで日和れば、最後の七議席さえ失って党が消滅しかねません。
強硬路線で自民党を再蘇生するAED*1と化すか、柔軟路線で自身が消滅するか。まさにニッチもさっちもいかない究極の選択。*2
与党内野党を宣言している?辻元さんは、強硬路線のように見えます。辻元さんって、小泉政権批判の最中に秘書給与疑惑だか何だかで自爆したこともあるし、実は自民党LOVEな究極のツンデレメイドさんだったりして。
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私としては、社民党が閣外協力にとどまるというのが望ましい妥協案に思えます。
そうすれば、閣内不一致などと揚げ足とられることなく、民主党の出した政策の内、賛成できるものには賛成し、反対の案件には自由に反対できます。政権を混乱させることを抑えつつ、コアでニッチな支持者に対しては「自分たちは主張を曲げなかった」と説明できます。
社民党の協力なしでどうやって参議院で過半数を得るか。そこはまぁ民主党の問題として小沢さんの辣腕に任せれば良いかと。辻元さんも、そのへんで納得してくれないかなぁ…。