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水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

時給1000円が時給800円より低賃金になる未来予想図

民主党などの政党が、最低賃金・時給1000円への引き上げを公約として掲げています。
(と言っても、例えば民主党もいきなり全国一律1000円と言っているわけではなく、まずは800円にして後は状況見ながらいつかは1000円に、という程度の曖昧な表現なのですが。)

私はこの公約に賛成なのですが、これが実現した場合、ヘタすると時給が上がるどころか下がってしまうかもしれないなー、というネガティブな予感がします。


今の日本には、大雑把に言って二種類の雇用が存在します。(1)月給の正社員、(2)時間給の非正規雇用

正社員は非正規雇用に比べて(1-1)マシな月収・年収と、(1-2)マシな雇用安定性、という二つの特権を与えられる代わりに、(1-3)無制限の残業タダ働き、という負担を背負わされます。60時間働いても100時間働いてもつけられるのは5時間で土日も深夜もおかまいなし、といった具合に。
「コスト切り詰めないと会社が存続できないから。会社が倒産したら君も困るだろ。」と言われ、会社と運命共同体となってひたすら我慢するしかありません。気が弱かったり責任感が強いと過労死するまで働かせられます。

非正規雇用は逆に(2-1)劣悪な低賃金、(2-2)不安定な雇用、という二つの宿命を背負う代償として、(2-3)働いた時間分だけは賃金貰えるという補償を受けることができます。

時給1000円になると、せめてもの補償として機能していた暗黙のルールまで放棄され「非正規雇用不払い残業」が悪質化・公然化していくように思います。

そんなこと言うと「現実には、悪質な派遣業者などはとっくに非正規雇用への残業代削減や不払いを行っているじゃないですか。」と言われると思います。確かにそうなのですが、今はまだ、時間給労働者に残業代払わないのは悪い事だ、酷い事だという社会的コンセンサスは残っていると思うのです。(残ってませんか?。)正社員のように「不払い残業やってない会社なんてないでしょ。」という社会的認識には至ってないだろうと。
その最後の一線まで破られそうな気がします。

時給1000円で7時間働いたことにして実際は10時間労働だと、実際の賃金は時給700円になります。こうなると「だったら時給800円で時間通り払ってもらってた以前の方がマシだった。」となりかねません。しかも、どこの会社で働いても当然のようにタダ働きさせられる。世間的にも「仕方ないんじゃない?。そんなもんだよ。」と言われてしまう。悪質化・公然化とは、そういうことです。


日本の労働市場の深刻な問題の一つは「法律がちっとも守られない」という点なんですよね。

公然化している正社員の不払い残業、人件費を減らし長時間労働をさせるために悪用される「名ばかり管理職」、派遣労働にしても本来は短期的な労働需要の変動に対応するための制度だったはずなのに、実際は正社員の置き換え・低賃金化による労働コスト削減の道具と化しています。
(むろん、私が話している「非正規雇用不払い残業の悪質化・公然化」は今のところは私の想像にすぎませんが。)

法律が守られない原因の一つは、法律を守らせる・違法行為を取り締まる行政機能が弱すぎることです。つまり労働基準監督署が十分機能していないことです。


民主党が政権を取った場合、天下りの禁止・特殊法人の廃止を行うと主張しています。そうすれば当然、大量の元公務員が職を失うことになります。
厚生労働省から天下りしていた人が職を失った場合、労働基準監督署で働いてもらうことにして、不払い残業をはじめとする「労働法無視」を片っ端から摘発する仕事を与えてはどうでしょう。

元公務員・元天下り官僚なんか無職になっても自業自得という人もいるかもしれません。でも、彼らも何かして生きていかねばなりませんし、放置すると「私のしごと館」のような壮絶に無意味な事業の予算を再確保し、新たな天下り先を生み出そうと必死になるでしょう。それを永久に抑え込むのはとてもやっかいです。

そこで、特殊法人廃止で浮いた予算の一部を労働基準監督署に振り向け、スタッフ増員による監督・労働者保護機能の向上を図るのです。意味のある仕事を与えて公務員としての給与を払う方が、ずっと有意義ですし安上がりなはずです。いかがでしょう。

私のしごと館(Wikipedia)