水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

平蔵ちゃんのsolitude

雑誌VOICEに竹中平蔵氏が原稿を寄せ、民主党政権郵政民営化が後退するといかに国民が被害をこうむるか説明しておられます。

郵政見直しが招く大損害(1)

でもこの文章、なんだか妙です。(以下「」内は引用)
「総理大臣と総務大臣に、郵政民営化の足を引っ張る人が就任してしまったために民営化が停滞している」
「いまの自民党のように、財政をバラまいたうえで消費税を上げるという話になれば、日本は間違いなく低福祉・高負担の国になる」
民主党は焼け野原のような日本経済を引き継いで、政権に就こうとしている」
「いま日本で極端な官僚主導の政治が横行しているのは、求心力を失った自民党が政争に明け暮れ、政策を議論する暇がないからである」
日航支援について)「今回のケースは何の法的根拠もない。官僚が恣意的な介入をしている典型で、自分たちの言いなりになる企業だけ、えこひいき的に保護しようとしている」
「アメリカとヨーロッパは株価が5年前に戻っている。中国は2年半前と同じで、日本はどうかというと、26年前と同じなのだ。官僚社会主義の跋扈により、日本経済は26年前まで戻ってしまった」
舛添要一厚生労働大臣にしても、さまざまな言動が注目されているが、制度改革は何も実現していない」

列記されているのはどれもこれも現政権・自民党の失政ばかり。郵政民営化とは関係ない話も満載です。民主党については、

民主党政権になって、中途半端な民営化になれば、残念ながら郵政民営化は「失敗に終わる」だろう。」

(引用ここまで)
といった、いかにも曖昧な if〜then〜文 しか出てきません。
そりゃそうでしょう。民主党はまだ政権を取っておらず、何一つ政策を実行したことがありません。まだ実行されていない政策を批判するのは、幽霊を捕まえるのと同じくらい難しいことです。


結局、どこが政権をとればいいのでしょうか?。民主はダメだけど、自民はもっとダメなのか?。支持すべき相手が誰もいない、平蔵ちゃんの孤独な立ち位置が見える気がします。


自民党については、竹中氏が支持したのは小泉政権であって自民政権ではなく、その両者はむしろ正反対の位置にあります。小泉氏はかつて「自民党をぶっ潰す」とおっしゃいましたが、自民党は小泉さんが人気のある間「潰されたフリ」をしていただけで、今やすっかり元通りの「既得権益保護集団」です。なにせ道路族の大ボスが選挙対策本部長代理(代理…プププ)をされていますし、総理大臣は以前竹中氏に対して「いつかお前を潰してやる」と耳打ちしてきた麻生さんです(そう言われたと竹中氏自身がおっしゃっています)。

今の自民党にとって竹中氏は「以前親しくしていた常連客」というより「とっくに交際をお断りし、店への出入りも禁止したはずなのに、しつこく『改革改革、俺の言う事を聞け』などと言ってくるストーカー」のような人物でしょう。小泉改革が様々な歪みを生み出した元凶を一手に引き受けてもらうべき、好都合な悪役でもあります。
チルドレンは死屍累々。頼みの小泉氏自身は議員を引退するという「究極の丸投げ」に打って出ていて、そこに帰る場所はありません。


一方の民主党については、竹中氏自身も文中で触れているように、内心では竹中氏の主張と意見が一致している議員も少なくないはずです。元々民主党は(本来の)自民党を批判していたのですから、(本来の)自民党と対極にある竹中氏とは意見が合致する部分があってもおかしくありません。でも、民主党は「反自民」という筋を通すために小泉改革&竹中氏を徹底して批判してきました。今さら仲良くするというわけにもいきませんし、罵倒されてきた竹中氏としても腹の虫がおさまらないでしょう。


8月30日、竹中氏はいったいどの政党に一票を投ずるのでしょう。ちょっと覗いてみたい気もします。

表面的には紳士的に接しているが、耳元で「いつかお前を潰してやる」と囁いた麻生自民党を支持するのか。それとも、竹中改革は悪だと吹聴し続けている鳩山民主党を支持するのか。

いっそ、幸福実現党にでも票を入れてみますかね?。