水色あひるblog

はてなダイアリー 「mizuiro_ahiruの日記」 から引っ越しました。

マニフェストなんか必要ない?

新聞やテレビのニュースを見ると、ご丁寧に各政党のマニフェストを項目ごとに並べて比較してくれている。あなたにとって、どの政党のマニフェストが一番正しいと思われるかが少しでも分かりやすくなるように、との親切心からの行為なのだろう。
国民の皆さん、ちゃんとマニフェストを読んで日本の将来を考えて投票しましょう。ニュース番組の解説者さんなんかが真面目な顔で視聴者に訴えている。


バカバカしくないだろうか?。

マニフェストを真面目に読む前提は、そのマニフェストが守られるということだ。現実には日本の政治でマニフェストが(あるいは旧姓・選挙公約が)真面目に守られたことなんか無い。無い無い、無いったら無い。
店頭のディスプレイに美味しそうな料理のサンプル模型がずらりと並んでいたから店に入ったのに、メニューを見て何を注文しても「あー、それ品切れなんすよねー」と言われ、挙句「つーか今作れるのは道路工事と農業バラマキのセットだけっす。それでいいっすよね。」と勝手に決められる不条理コントのようなことを、もう半世紀くらい続けているのだ。私たちは。

自民党マニフェストは守られないとわかっている。民主党マニフェストも守られるかどうかわからない。だってまだ試したこと無いから。守られるあてのないマニフェストを熟読検討するなんて、虚し過ぎる。

実は「マニフェストに何を書いているか」なんか関係なくて、今回の選挙の争点は「二大政党制、是か非か?」だけなんじゃないのかな。


日本は戦後30年くらいは「反共親米・資本主義・欧米に追い付こう」という強固でシンプルな国是をかかげてきた。だから、政権選択によって政策がブレることを国民は望まなかった。道路が一本なのだから、バスも一台でいい。英米に見られるような二大政党制は、むしろ選挙のたびに政策が右往左往する恐れがあって有害無益にさえ見えた。
国是に合致する政党は自民党一つしかなくて、だから政権党は事実上一つしかなかった。あとはブレーキのかけ具合を調整するための野党がいくつかあればそれで良かった。実質的な政策立案者が自民党ではなく官僚というのも、一貫性を追求すれば合理的だった。

80年代半ばくらいから状況は変わり始めていたのだが、いかんせん、国民には選択肢が無かった。野党第一党の社会党はあまりに長く野党だったために、もう腐ってしまっていて、いまさら与党に出来る状態ではなかった。政権党は一つでいいじゃん、としてきたツケが回ってきた。

93年の細川政権で予想外に非自民政権が誕生したが、あっさりと崩壊して、国民の間にはちょっとした絶望感が広がってしまった。「日本には自民以外で政権担当能力のある政党は出来ないのではないか?。」

話をすっとばすが、以来16年かかって、国民は自民党の他にもう一つ政権を担いうる(かもしれない)政党を育ててきた。


今度の選挙は、ハプニング的に政権交代が起きた93年とは異なり、国民にも事前に十分わかっている選挙だ。日本は二大政党制に移行するのか、やっぱり自民アクセル&その他の野党ブレーキ制なのか。

楽しみだ。